塩泉の謎
道の駅巡りをしている旅の仲間と共に、南信州に行ってきました。南アルプスと中央アルプスに挟まれた飯島町の道の駅を回ってから、天竜川の南アルプス側の支流小渋川のダム湖を超え、やって来たのが人口1100人の大鹿村。村民歌舞伎と山塩の村です。
ここには食塩泉の温泉が湧いていて、古事記に登場する建御名方神(たけみなかたのかみ)が鹿狩りの際に見つけたとか、弘法大師が塩の調達に難儀していた村人の為に湧き出させたとかという伝説が残っています。明治になると岩塩を探しに鉱山師がやってきましたが、結局見つかることはありませんでした。現在では日本列島が形成される途中で閉じ込められた海水が源と推測されています。この温泉水からできる塩は、村内のみで販売されています。
塩が白餡の甘さを引き立てています。皮種には篆書体の「味」と「楽」が、包みの鹿の絵の下には歌舞伎と鹿のキャラクターのおすみつきシールが貼られています。塩もなかには同じ皮種の焼いも、黒ごま、小豆餡のよもぎがあり、違う皮種でくるみと栗があります。
中央構造線の露頭
最中を購入した後、中央構造線博物館に寄りました。九州東部から関東まで日本列島を横断する世界第一級の断層が中央構造線です。構造線をはさんだ地質の分布が石の実物で展示されており、地滑りなどの資料映像と窓からは大西山の大崩落の跡がよく見えます。地質の分かれ目が露出している安康露頭に行ったのですが、道が傷んでおり、露頭のすぐ手前で通行止めになっていました。仕方なく引き返し、村の反対の端の北川露頭まで行ってきました。両方とも国の天然記念物です。
日本一美しい村連合に加入している大鹿村ですが、伝説の大池への道や夕立神パノラマ展望台への道も通行止めでした。高地でしか育たないヒマラヤの青いケシの農園もあるので、夏までには復旧するといいですね。最後に塩の里直売所によって山塩アイスを食べ、薄緑色の川床が美しい塩川をしばし眺めてくつろぎました。太古の昔に海洋プレートが運んできたものに出会える山間の村でした。
塩もなか
歌舞伎の里大鹿 長野県下伊那郡大鹿村大河原390 0265-39-2844 無休(臨時休業あり) 1個150円(他の種類は180円~)
国道152号の小渋川沿いにある道の駅です。歌舞伎や鹿をテーマにしたグッズや大鹿唐辛子の商品があり、レストランではジビエ料理が食べられます。地元民のためのコンビニを兼ねているようです。塩川沿いの塩の里直売所でも販売されています。