多助俵最中:群馬県沼田市

「沼田城下の塩原太助」

群馬県の上毛かるたの「ぬ」です。沼田藩の領地だったみなかみ町出身の塩原太助は、貧しさから抜け出して江戸で炭屋となって大成功した立身出世の人物です。太助と多助で字が違うという謎は後ほど解説しますが、まずは旅の様子を。

沼田インターのすぐそばに店があるので、まず最中を購入してからみなかみ町へ行く途中に沼田城址に寄りました。石垣が少し残るのみで今は公園になっており、復元された本丸太鼓櫓と、真田信之と小松姫の像があります。最中といっしょに買ったみそ饅頭(餡が入っていない饅頭を串に刺し、甘いみそだれを付けて炙ったもの)を食べてから散策しました。城の北西は急斜面になっており、眺望が楽しめました。

61.多助俵最中

包み紙には多助、皮種には太助と書かれた炭俵の形です。練り気味の少し甘めの小豆餡がたっぷり入って満足感があります。ばら売りの包みは袋型ですが、こちらの3個パックは炭俵の形に包んであります。

塩原多助一代記

太助は義母に虐められふる里を追われましたが、江戸で炭屋に奉公し、真面目な働きぶりで主人に認められて店を出すことができました。炭の量り売りを始め、炭粉を固めた新製品を発売するなどして成功を収めました。その後も簡素な暮らしを続け、常夜燈の設置や寺社への寄進などで世の為人の為に財を使いました。後にこれに感激した三遊亭圓朝によって落語の人情噺「塩原多助一代記」が創作され、大人気を得て出版物や歌舞伎にもなりました。戦前には教科書にも載っていたそうです。フィクション部分が多いので本名の太助を多助に変えたという訳です。

61.太助とあおの像

みなかみ町の塩原太助翁記念公園には、渋沢栄一揮毫の記念碑の横に多助と愛馬あおの像があります。多助の命を救った愛馬あおとの別れの場面です。あおはこの時涙を流したといいます。また、あおは多助の命を狙った者が誰かわかっていて後に復讐を遂げるのです。すごい、すごすぎる。実はこの場面は創作で、あおがいたかどうかもわかりませんが、あおを繋いだ木というのが3か所ほど伝わっているようです。

多助俵最中

大丸屋製菓太助庵 群馬県沼田市横塚町1366-3 無休 0278-22-2489 1個160円 3個パック580円
沼田インターのすぐ近く、ケンタッキーFCの隣です。どら焼きや羊羹、練り切りなどがあり、群馬名物のみそ饅頭(焼きまんじゅう)は注文を受けてから焼きます。4連なので1串買おうと並んだら前にいた地元の人は10串買っていました。駐車場広いです。みなかみ町の太助公園前にはこの店のドライブインがあります。

荒船風穴最中:群馬県下仁田町

絹産業の世界遺産

今回の最中旅の第一目的である荒船風穴は、下仁田の中心街から車で35分の山の中にあります。土日は神津牧場側の駐車場から800mの山道をシャトルバスが出ていますが、平日なので反対側のルートを行きました。

車を停めて矢印に従って細い急坂を登ると料金所の小屋の前に出ました。入場料を払って記念の世界遺産カードを1枚選んだら、ガイドさんが小屋から出てきて案内してくれました。今は石垣の囲いが残るのみですが、冷たい風は出ていて、この日の下界は25度ほどの気温だったのですが、1号風穴の中は2 . 4度!そんな風穴を表現したという最中を来る途中の和菓子店で入手しました。

荒船風穴最中

蚕のまゆの形の最中にはシルクパウダー入りの小豆のこし餡が、石垣の形には風穴の冷気を表現したというハッカ油入りの白こし餡が入っています。皮種は薄く、餡は程よい甘さです。ハッカは効きすぎることなく、最中に清涼感を与えています。まゆ2個と石垣3個のセットで化粧箱に入っています。

絹の大衆化に貢献

荒船風穴は石垣の囲いの中に2階建ての小屋がありました。この中に蚕の卵を貯蔵して、時期をずらして風穴から出し孵化させます。1年に1サイクルだった養蚕が何度も行えるようになったのです。国内最大の規模で、42道府県と、さらに朝鮮半島との取引もあったとのこと。洞窟型の風穴と異なり、温度の違う3基の風穴で徐々に自然の状態に戻すことができます。風穴がある地域からの、リスク分散のための委託も多かったそうです。

荒船風穴

上の画像は見学用デッキから撮った風穴。デッキの隅に風穴が使われていた頃の写真があります。昔はこの風穴の脇の小道を何十頭もの馬が長野県の佐久から米を運んできたそうです。下の集落は賑わい、馬で荷物を届ける宅配便のような商いもあったとか。この日は観光客もまばらで、集落で飼われている甲斐犬の声が山々に木霊していました。

荒船風穴最中

古月堂 群馬県甘楽郡下仁田町本宿3760 0274-84-2417 火曜・第3水曜定休 2種5個入り700円
国道254号から県道43号に入る上州姫街道の宿場町だった所にあります。2017年の群馬土産3位に選ばれた「本宿どうなつ」の店で、254沿いに大きな看板が建っています。北関東自動車道の前橋南インター近くに支店があります。

万葉の峰:群馬県下仁田町

山々を眺め下仁田へ

富岡製糸場とともに世界遺産登録されている絹産業遺産群の荒船風穴を見に行って来ました。静岡県の清水から北上し、甲斐駒ケ岳や八ヶ岳を眺め、浅間山の手前から上信越自動車道へ。妙義山を北から周ってネギとコンニャクの町下仁田へ到着。

街中から再び山方面へ向かうのですが、その前に駅近くの和菓子店へ直行。店の前に着いたのですが、納品で留守にするとの張り紙が!なんてこったと思っていると、ちょうどそこに店の人が帰ってきました。通りがかったご婦人がよかったですねという風に微笑みかけてくれました。

万葉の峰

皮種は画像の荒船山の他に妙義山、神津牧場、黒滝山不動寺の全4種類があり、ランダムな2種類の組み合わせになっています。若葉色に色付けされた白こし餡に柚が練りこまれたさわやかな風味の最中です。

奇岩を仰ぐ

店を後にして、日本三大奇景のひとつである妙義山へ。下仁田町と富岡市、安中市にまたがる幾つかの山の総称で、ハイキングコースから縦走ルートまでとレベルに応じた登山が楽しめます。下仁田側からは県立森林公園さくらの里から岩山を目の前にすることができます。広い駐車場から絶景を眺めた後、荒船風穴へ向かったのですが、これについては次回紹介します。

妙義山

荒船風穴を出て、日本で最初の洋風牧場である神津牧場へ。牧場産のハンバーガーとソフトクリームを食べて、チーズやバター飴などを購入し、店員さんに荒船山がよく見える場所を教わりました。荒船山は船の形をしたテーブルマウンテンのような艫(とも)岩が特徴的。最中の絵とは反対側からの眺めです。最中の絵の最後のひとつ黒瀧山不動寺は、今回は訪れませんでしたが、下仁田町の南隣の南牧村にあります。

万葉の峰

総本家紙屋 群馬県甘楽郡下仁田町下仁田361 0274-82-3228 木曜定休 1個108円
下仁田駅から徒歩で2分ほど。紙問屋だった頃の屋号をそのまま使っているそうです。下仁田ネギの饅頭や洋菓子も作っていて、桑の葉と練乳を使った焼き菓子の「荒船Who-K2」もあります。