水の面に 照る月なみを数ふれば 今宵ぞ秋の最中なりける
平安時代の『拾遺和歌集』にある源順(みなもとのしたごう)の歌です。
「水の面に」は「みのおもに」と読みます。「最中」はもちろん「もなか」です。
秋の最中は中秋。そしてその月と言えば、すなわち中秋の名月のことです。
(BGM付語りで♪)
・・・丸い餅菓子を見てこの和歌を詠んだという話もあるのじゃが、その後、
いつの頃か、もち米粉を使って焼いた丸い煎餅に砂糖蜜をかけた菓子ができたそうな。
そしてこの菓子はどんどん進化していったのじゃ・・・
一 江戸時代中期、とある店が「最中の月」と名付けた蜜掛け煎餅を売り出す
二 ほどなく、この菓子に餡をはさんだ「最中饅頭」なるものを別の店が発売
三 すると、餡が入ったものを各店が売り出すようになり、名が略されて「最中」となった
四 そして、明治になると金型技術の進歩により様々な形の最中ができるようになる
五 やがて、大正から昭和にかけて多くの和菓子店で作られるようになり最中の黄金時代が到来
六 そうなると、競争が厳しくなり、栗や求肥を入れるなど工夫を凝らした最中が出回るようになる
かくして我々は、様々な姿や中身の最中を楽しむことができるようになったのである。