とこなめ焼きの大がめ
知多半島最中旅の最後は、半島中央の西海岸側にある常滑市にやって来ました。中部国際空港、通称セントレア空港がある市です。とこなめ焼と言えば朱泥の急須が思い浮かびますが、古くは奈良時代から大型の甕や壺を生産してきた地で、近代では陶器の土管や火鉢の産地でした。市の中心部へ向かう前に、大甕を模った最中があるという店を訪ねました。
自然釉のかかった甕の形の皮種に、程よい甘さの小豆餡が入っています。古くから生産が続く大甕のように、変わらない味わいを表現したという最中は、バランスのいいオーソドックスな最中です。
やきもの散歩道と招き猫通り
市の中心部の大通りの裏には陶器店や陶芸教室、作家の工房が密集している地区があります。昔の窯の煙突が残る丘には、坂道の各所に壺や土管が埋め込まれた小径が複雑に張り巡らされています。迷路のような道を行きつ戻りつしながら店先の焼き物を眺めました。甕などの伝統的な焼き物の他にも、かわいい作品や他の産地の技法を取り入れた美しい作品もあり、結構楽しめました。
常滑市陶磁器会館がある大通りは「とこなめ招き猫通り」という名が付いており、切り開かれた丘の上から巨大な招き猫が顔を出し、コンクリートの法面には様々な作家の手による個性的なご利益招き猫たちが39体並んでいます。1点ずつ見ていくとなかなか面白いですよ。
大甕もなか
早川屋製菓舗 愛知県常滑市苅屋字深田124-1 0569-35-4041 火曜定休 1個120円+税
中心街より4kmほど南の国道247号沿いで、多賀神社の向かいです。以前は苅屋町の旧道沿いに店舗がありましたが、こちらに移転しました。店先に大甕が置いてあります。白餡と生クリームを使った「知多娘(ちたっこ)」も人気だそうです。