花より最中の高遠城址
先日南信州に行ったばかりですが、別の旅の仲間がアスパラ狩りに行くというので、また伊那市まで同行しました。
農園はいちごフェア目当ての客で大繁盛。我々のアスパラ狩りはすぐ終わって、木のおもちゃに色を塗る体験に参加するというので、二手に分かれ、和菓子店に寄ってから高遠城址公園へ。桜の最盛期には伊那インターから高遠までの10kmが大渋滞するらしいですが、今年は開花が早く1週間前に既に散っているのでストレス無く移動できます。花より団子ならぬ、花より最中ということで。
四角い最中は絵島と書かれた半分に白餡、生島のほうには粒餡が入っています。どちらも程よい甘さです。美しい包みの裏には、叶わぬ二人の恋をせめて最中でと二つの味を併せましたと、店主の言葉が載っています。
大奥の勢力争いの犠牲者か
江島生島事件は七代将軍徳川家継の時代、大奥年寄の江島が将軍生母の代理で増上寺に参った帰り、歌舞伎を見に寄って門限に遅れたことが発端でした。役者の生島との関係を疑われ、綱紀粛清で江島は高遠に、生島は三宅島に遠島となり、他にも1400名が処罰を受けました。その後小説「絵島生島」により広く知られるようになりましたが、どうやら大奥の勢力争いが絡んでいたようで、生島を長持に潜ませ大奥に招き入れたというのは、フィクションのようです。
高遠の桜はすっかり散っていましたが、バスツアーでやって来る観光客でそこそこ賑わっていました。城址公園の下には高遠町歴史博物館があって、江島の囲み屋敷が敷地内に再建されています。元はここから3km程の三峰川の上流にあったようです。江島は27年間幽閉されていましたが、晩年は屋敷の周りの散歩を許されたり、高遠城で作法の講師を務めるなどしたようです。生島のほうは江島が亡くなった翌年に、将軍となった吉宗の恩赦で江戸に戻ったと伝わっています。
絵島生島最中
菊香堂 長野県伊那市坂下旭町3300 0265-72-2751 水曜定休
飯田線の伊那市駅と伊那北駅の中間あたりの県道146号沿い、伊那郵便局の近くです。高遠饅頭やパイまんじゅう、焼きドーナッツなどもありますが、上生菓子は細工が美しく味も一級品です。駐車場はないので、店前に停めてくださいとのことです。