辨慶の釜:和歌山県田辺市

81.辨慶の釜

紀勢本線ひとり旅

今回は久しぶりの一人旅。紀伊田辺までの電車旅です。新幹線で隣合わせになったご婦人の目的地も紀伊田辺と知り、話が弾みました。ご家族と待ち合わせとのことで新大阪で別れ、特急くろしおに乗り換えて紀伊半島を南下し、白浜の少し手前の田辺市へ。

駅を出るとロータリーにある高い台座の上に薙刀を構えた僧兵の像が立っています。弁慶です。弁慶の生い立ちについては、生まれた時に2、3歳の体格だったとか、髪と歯が既に生えていたとかの伝説レベルの話しか伝わっていませんが、田辺市はこの地こそが生誕地であると主張しています。

81.辨慶の釜

弁慶の産湯を沸かした釜を模った最中は大変珍しい上下二分割。下の胴の部分に程よい甘さの粒餡、蓋の方には柚入りの白餡が入っていて、それぞれ独立した最中になっています。全体は焦がし種ですが、仕切り部分は焦がしてない白い種が使われています。昭和天皇もお買い上げになったそうです。

鶏は告げた「源氏に付け」

田辺市が弁慶出生の地を名乗る根拠が、弁慶の父とされる熊野別当湛増(たんぞう)の存在でしょうか。源平合戦の際に双方から熊野水軍を出すよう湛増に要請が来たため、紅白の鶏7羽ずつを闘わせ神にお伺いを立てたとの故事があります。駅から徒歩で10分もかからない場所に鬪雞神社があるので行ってきました。熊野三山の別宮であり、社殿がいくつも連なり、神社の前には馬場が未舗装の道として残っています。

81.湛増弁慶の像

次に鬪雞神社から徒歩で8分ほどの南方熊楠(みなかたくまぐす)の顕彰館を訪れました。博物学の先駆者であり、変形菌類・地衣類などの研究者の代表格です。鬪雞神社の裏山でフィールドワークを行い、地域の自然保護にも情熱を注いだ人物です。ここで変形菌などのスケッチが散りばめられたミニタオルを入手。これ以前から欲しかったんです。田辺市は白浜市に続く美しい海岸や海水浴場もあり、のんびり滞在するのもいいかもしれません。

辨慶の釜

鈴屋菓子店 和歌山県田辺市湊15-11 0739-22-0436 無休 1個180円+税
駅前通りを200mほど行った所にあります。キューブ形の個包装のデラックスケーキが売りのようで、全国数か所のデパートなどでも販売しています。柚もなかや梅まんじゅうもあります。