あたみ桜:静岡県熱海市

梅は咲いたか 桜は・・・咲いてる!

熱海は1月から2月にかけて梅園を訪れる観光客で賑わいますが、同じ時期に桜も満開を迎えます。早咲きのあたみ桜という品種です。2月の始めに旅の仲間たちと車で出かけてきました。

梅園の横を通って市街に入り、糸川橋近くの駐車場に入りました。糸川橋脇にはあたみ桜の基準木があり、桜並木が続くこの川沿いがさくら祭りの会場になっています。中国語の会話が聞こえるなか、タイの人かな?一人旅の女性に撮影をお願いされたりしながら桜並木を端まで歩いた後、熱海七湯の間歇泉などに寄りながら駅前まで行き、和菓子店にて最中を購入。

87.あたみ桜

程よい甘さの粒餡に桜の塩漬けが一輪入っており、食べ進めて桜にたどり着くと香りと塩味のアクセントが楽しめます。最中全体の厚みはそれほど無く、個装の淡い色合いとともに品のいい仕上がりになっています。塩漬けには梅酢が使われているようです。

桜の下で剣舞を堪能

さて、このさくら祭り、週末には日替わりでちょっとしたイベントが催されています。剣舞があるというので、開始時間に合わせて予定を組みました。音楽が鳴って、色鮮やかな振袖に黒の男袴を着けた女剣士が登場すると殺陣が始まりました。男性は煌びやかな袴で扇の舞を披露。演歌に合わせた芝居的な演目もあり、刀の他にも小太刀や槍も登場して、最後は全員で大立ち回り。雅魅(みやび)という殺陣パフォーマンス集団でした。なかなか楽しかったですよ。

87.糸川沿いのあたみ桜

駅前から再び糸川沿いを通り、途中でふるまわれていた桜湯を頂きました。ふと見ると桜の密を吸いに集まっているメジロに皆がカメラを向けています。こんな人混みでもメジロは来るんですね。この後は伊豆半島東岸を南下して伊東市へ向かいました。

あたみ桜

御菓子処一楽 静岡県熱海市田原本町5-5 0557-85-7222 不定休 1個220円
熱海駅前の平和通り名店街のほぼ中央にあります。季節によって数種類がある浮島生地を使った和菓子や大福の他に、米粉ドーナツや熱海檸檬などの焼き菓子やプリンなどもあります。駅からは徒歩2分です。

平塚最中:神奈川県平塚市

東海道の宿場町

鎌倉の帰りに平塚市で途中下車しました。以前東京での展示会を見た帰りに、車で相模川の田村の渡し最中を訪ねて行きましたが、今回は電車と徒歩の旅なので、駅から歩いて行ける場所を選びました。

平塚は東海道の宿場町だった所です。駅から目的地までの1.5kmほどを前方の高麗山(こまやま)を見ながら旧東海道を歩きます。朝鮮半島から船で大陸の進んだ文化がもたらされたのですが、上陸する際に目印となった山だそうです。旧東海道は今は大通りになっていて強風が通り抜け、街路樹のイチョウの落葉が音をたてて押し寄せてきていました。

86.平塚最中

厚みがあって大振りの最中です。両側に平塚の文字が入って、包み紙には平塚の塚や石碑が描かれています。程よい甘さの粒餡がたっぷり入って食べ応えがあります。白い皮種の白餡は粒が残り気味ですが、この大きさなのでバランスに問題無し。ひらつか市民プラザの観光案内所でも販売しています。

今を遡ること千百六十年余り

桓武天皇の三代孫、高見王の娘政子が東国へ旅した際、急病で薨去し、ここに葬られ塚が築かれました。時を経て塚の上が平らになったので、人々はひらつかと呼ぶようになり今の地名となったとのことです。ということで、やって来たのは今も残る平塚です。旧東海道の問屋場跡が江戸時代風の建屋になっている消防分団の角を住宅街に入ると、寺の左隣に平塚の塚緑地があります。

86.平塚の塚緑地

小さな緑地ですが東屋がありきれいに整備されています。門の奥に見える石柱で囲まれたのが平塚の塚です。周りにはいくつか石碑が立っていました。しばらく休憩してから帰りがけに最中店に寄り、市民プラザで木工製品の展示会を眺めてから駅に戻りました。最後に鳩サブレーを土産に買って電車へ。平塚にはまだいくつか最中があるので、また別の機会に訪れる予定です。

平塚最中

安栄堂 神奈川県平塚市平塚2-30-3 0463-31-4784 第1・3水曜定休 1個180円
平塚駅から旧東海道に出て左へ800mほど。本宿郵便局の並びで、平塚最中とあんみつの幟が目印。小奇麗な店構えであんみつの他に団子、羊羹などがあります。鵠沼海岸の有名なかき氷専門店に餡を提供している店で、気さくなご主人がいます。駐車場はないようです。

鎌倉源氏最中:神奈川県鎌倉市

イチョウ色付く鶴岡八幡宮

年内にもう一か所日帰り旅を予定していたところが冬季閉館してしまったので、急遽鎌倉への電車一人旅に変更しました。鎌倉には名刹や見所が数多くあるようですが、初訪問の今回は鶴岡八幡宮のみに絞って行ってきました。

参道の若宮大路は駅からすぐです。大路の中央に設けられた一段高い歩道が、源頼朝が作った段蔓です。鳥居をくぐってずっと先に見える八幡宮まで段蔓をゆっくりと歩きました。倒木後に芽が出たあのイチョウの若木はちょうど黄葉していました。本宮参拝後、脇に回って静かに佇む実朝のビャクシンの古木を眺め、政子石がある源氏池の小島に渡りました。ミュージアム前の静謐な平家池に比べ、こちらは鳥たちが集まり賑やかでした。

85.鎌倉源氏最中

三種類の餡にそれぞれ源頼朝と妻子の名が付けられた最中です。頼朝は焦がし種に粒餡、政子は桃色の種に白餡、実朝は緑色の種にこし餡が入っています。どれも程よい甘さで、皮種には鶴岡八幡宮の鶴の紋章と裏には八幡の文字と店名が入っています。

強風と眼福

穏やかな雰囲気の参拝の様子を記しましたが、実はこの日は前線通過に伴う強風が吹き荒れていました。和服の家族連れの幼い子は風に飛ぶイチョウ葉を拾い、学生のグループは砂埃の参道の屋台で買い食いをしていました。竹垣の修理の様子をしばらく眺めてから八幡宮を出ると、鎌倉彫の店の「葡萄美酒夜光杯」の漢詩が目に留まり、店内へ。雲紋のペントレイがいいなと思ったのですが、さすがに衝動買いできないお値段でした。

85.鶴岡八幡宮

この後、鳩サブレーのグッズを買い、小町通りを一瞥して駅へ。滞在時間は短かったのですが、様々な人がいましたね。中国の観光客は予め調べてきていたのか手水舎で作法に則って手を清めていました。行きがけの電車では伝説のスーパーモデル山口小夜子ばりの美女を見かけ、鎌倉駅では着物と洋装を掛け合わせた鎌倉ダンディーに遭遇。眼福の鎌倉旅でした。帰りに平塚に寄りましたので次回。

鎌倉源氏最中

旭屋本店 神奈川県鎌倉市雪ノ下3-3-21 0467-22-2622 月曜定休 1個200円
八幡宮の東鳥居から通りに出た信号の右の角です。豆大福やどら焼き、団子の店です。また、葛を使った12種類のアイスバーは自動販売機でも販売中です。駐車場はありませんが、隣りの有料駐車場は比較的すいているようです。

芦辺もなか:和歌山県和歌山市

葦辺をさして鶴鳴き渡る

(紀勢本線ひとり旅 その4)
湯浅から各駅停車で和歌山市の紀三井寺駅にやって来ました。桜の名所だそうです。下調べで和歌浦の不老橋が目に留まり、旅程に組み込みました。歩くこと20分で和歌浦に到着。まずは、和風の庭と欧風の調度品が調和した古民家カフェで昼食をとってから散策開始。

不老橋は紀州東照宮の和歌祭りに通る道に架けられたもので、江戸時代には珍しい石橋です。川沿いのあしべ通りは美観地区になっており、和歌のプレートがいくつも掲げられています。「若の浦に潮満ち来れば潟を無み 葦辺をさして鶴鳴き渡る」山部赤人です。かつては島だったという玉津島神社裏の奠供山の松の緑と岩の崖を鑑賞。あしべ通りの先には御手洗池、その奥には東照宮があります。

84.芦辺もなか

芦辺を目指して飛んできた鶴でしょうか、店の商標が皮種になっています。粒・白・柚餡と三色入った大きいサイズのほうが有名なようですが、一般的なサイズのものを購入しました。皮種の香ばしさと程よい甘さの粒餡が調和した王道最中です。白餡は白い種で、手亡豆ではなく白小豆が使われています。

おてんす最中は?

当初は芦辺もなかではなく、おてんす最中を入手する予定だったのですが、随分前に製造終了したとのことです。土産用に日持ちするよう厚い種を使っていたのですが、バランスに納得できず、止めてしまったとのことでした。おてんすとは天守がなまったものだそうです。山部赤人の和歌の芦辺もなかがありますよと言われ、先程のあしべ通りにあった和歌だ!ということでノーマークだった芦辺もなかをゲットしたのでした。

84.不老橋

上の写真は不老橋ですが、もちろん和歌山城にも行きました。国宝だった天守は和歌山大空襲で焼失し、今は鉄筋コンクリートの復元天守が立つ平山城です。天守前の茶屋で団子とお茶で一休み。その後西の丸で御橋廊下を見ていたら地元の紳士が中を通れると教えてくれて、ライトアップの写真なども見せてくれました。木造復元された橋の廊下を渡って西の丸庭園へ。釣殿がある池を中心にしたすばらしい庭園で、紅葉が色づき始めていました。15時のチャイムの「毬と殿様」の童謡が響くなか帰路に就きました。

芦辺もなか

鶴屋忠彦本舗 和歌山県和歌山市十番丁101 073-431-0116 無休 1個150円+税 三色最中は370円+税
城の北入口から駅に続く大通りを渡って1本裏に入ったところです。控えめな店構えですが、地元の人ならお使い物は有名店よりもこちらで買うと言われる老舗。和歌山城の茶室紅松庵はこの店の和菓子を使っているそうです。駐車場はありません。

稲むら最中:和歌山県広川町

隣の湯浅は醤油の町

(紀勢本線ひとり旅その3)
御坊市を発ち、湯浅駅に降り立ちました。心配していた雨は夜のうちにピークを過ぎ、朝には小雨になっていました。湯浅駅で自転車をレンタルする予定だったのですが、まだ雨が上がらなかったので湯浅醤油まで徒歩で移動。湯浅は醤油発祥の地なのです。

工場の中が見られる通路を通って売店へ。金山寺味噌を作る過程でできたということで、金山寺味噌の他にもTシャツや前掛けなどのグッズもありました。冬季限定の生しょうゆを旅の仲間への土産に購入。リュックがぐっと重くなりました。駅に戻る頃には雨が上がったので、レンタサイクルで広川町へ。広川町を襲った津波から村人を救った「稲むらの火」の実話からできたのがこちらの最中です。

83.稲むら最中

燃える「稲むら」の最中は地元の高校生が考案し、イラストも手がけました。青い包みは「稲むらの塩」が入った粒餡、オレンジ色の包みは隣町の有田産みかんの程よい風味が効いた白餡です。両方とも硬めの餡です。

国連が制定した世界津波の日

嘉永7年(1854年)11月5日、安政南海地震の大津波が紀伊半島を襲いました。広川町の広村では夕方暗くなってから津波が押し寄せ、村人たちは暗闇で大混乱。すると丘の上にあった収穫したばかりの稲を積み上げた「稲むら」に火が付けられたのです。村人はその火を目印に丘に逃げることができました。この話を元に小泉八雲が書いた小説は国語の教科書にも載る防災教材となりました。

83.広村堤防

実話において火をつけた人物は濱口梧陵氏、ヤマサ醤油の7代目です。その後、津波で家や職を失った人々の救済を兼ねて、私財を投入して堤防を建設しました。今も残る広村堤防です。堤防を見学した後、近くの浜口梧陵記念館と津波防災教育センターの「稲むらの火の館」を訪れました。記念館は無料で、勝海舟や福沢諭吉とも親交があった梧陵の人生を紹介しています。防災センターは入場料500円です。

稲むら最中

有田観光物産センター企画販売 1個170円
火の館の向かいの物産館「道あかり」で買いました。稲むらの火の限定パッケージのヤマサ醤油もありました。他にも温泉施設や湯浅PAなど、広川町、湯浅町、有田川町の13ヵ所ほどで販売しています。