相模川の田村の渡し
茅ヶ崎市から相模川を渡って平塚市に入り、予定していた和菓子店に着くとなんと休業日。事前に調べたはずだったのに何か勘違いしていたか?ということで急遽別の最中に変更。平塚市は土地や歴史に因んだ最中がたくさんあるのですが、時間がなかったので一番近い所へ急行しました。
それが相模川の田村の渡し場に因んだ最中です。平塚と東京を結ぶ中原街道の田村の渡しは幕府直営の渡し場でした。大名行列が通る東海道の馬入の渡しを避けて、商人や庶民は田村を利用する人が多く、また大山参詣の大山道の渡しとしても賑わったそうです。田村と馬入の間の四之宮にも渡し場があって、こちらは自主運営で地元民が利用していたようです。
若草色の包みは粒餡で、皮種の桃色が透けているのが白餡です。皮種には蓑を着て舟を操る船頭の姿があり、「たむら」と店名の「いつつや」の文字が表と裏に入っています。焦がし種のつぶ餡は程よい甘さで、少し粒が残る白餡は焦がしていない皮種によく合う最中です。
今は石碑が残るのみ
お店の人から田村の渡しは神川橋あたりにあったそうだと聞き、堤防に行ってみました。渡し場の痕跡を探して神川橋付近を行ったり来たりしていると案内板を発見。橋のたもとだったのですが車で入れず、犬の散歩中の方に教わってやっと渡し跡の石碑に辿り着きました。今は石碑と解説板があるのみで、草が立ち枯れていてなんだか寂し気です。
平塚市と寒川町の間に架かる神川橋の上流側には取水堰があって、白鷺らしき鳥たちの姿がありました。歌川国芳の浮世絵「相州大山道田村渡の景」には寒川町側から見た渡し場と大山が描かれています。同行者の車を寒川側に待たせ、500メートルほどの神川橋を歩いて渡り、帰途に就きました。
たむら渡し最中
井筒屋 神奈川県平塚市田村6-4-14 0463-55-0053 月曜定休 1個170円
売り場の横の工房は通りから見えるようになっています。昔ながらの雰囲気の素朴な店ですが、酸味が少なく甘い苺の大福で有名な店で、夏にはカフェオレ大福も人気だそうです。店の前に小さな1台分の駐車スペースがあります。