米とぎ最中:静岡県磐田市

八王子神社の米とぎ祭り

以前、磐田市の特産品販売所で米とぎ最中を見つけて買ったことがありました。米粒でも入っているのかと思ったのですが特にそんなこともなく、変わった名前の最中の由来は謎でした。後になってそれが合併前の福田町(ふくでちょう)で行われる米とぎ祭りに因んでいるとわかったので、見に行って来ました。

下帯ひとつの裸の男たちが今之浦川で米をとぐ神事です。 天秤棒に釜を下げ「よいしょ、よいしょ」の掛け声でやってきた男衆は、八王子神社脇の堤防から小舟に乗り込みます。流されそうになる舟をなんとか操って、見物人に見えるよう米をとぎ終えました。その後男衆は神社に参拝し、米をふかすために公民館へ移動したので、見物を終了して和菓子店へ。

米とぎ最中

丸い皮種には稲穂の焼き印が押してあります。 程よい甘さの餡は手亡豆の白餡で、種の形に凹凸がないせいかたっぷり入っている感じがします。店では福田の名産品のしらすが入ったクッキーも販売していました。

何故あの川で米をとぐ?

今之浦川を知っている人は誰もがそう思うでしょう。元禄時代に流行った疫病を祓うためで、川で洗ってふかした米を八王子神社に奉納したのが始まりだそうです。当初は奉納した後の米飯を参加者で食べ、氏子の家にも配っていたとか。さすがに今やったら逆に病気になりそうなので、食べてはいないと思いますが、どうしているのか聞いてくればよかった‥‥ 。

米とぎ祭り

神職の方は女性です。舟に乗った人たちの他にも、同じ格好をしてお神酒を担いできた人達が堤防で見守っていました。子どもたちも参加しています。なんとこの祭り、地域外の人も希望すれば参加できるそうです。1月の第2日曜日という寒さの厳しい時期ですが、今年は遠州のからっ風も止んでいて季節外れの穏やかな日和でした。

米とぎ最中

福田入河屋 静岡県磐田市福田中島137-1 0538-58-0865 木曜・第3水曜定休 1個140円
八王子神社から500メートルほど。最寄りの磐田駅から4キロ以上ありますので車でどうぞ。店の前に6台くらい停められます。

田子の月(亥パッケージ):静岡県富士市

亥と言えば静岡県伊豆市のいのしし最中がありますが、今回は「最中は語る」正月特別バージョンということで、 お年賀にぴったりの亥パッケージの田子の月です。

12月30日から1月7日までの期間で限定数を販売。田子の月の直営店は静岡県中部と東部に何店舗もありますが、静岡県西部のスーパーマーケット「遠鉄ストア」で販売していました。(直営店での販売でした。)最中は通常の餅入り田子の月です。

雲州そろばん最中:島根県奥出雲町

高品質の雲州そろばん

加茂岩倉遺跡へ行く前に、宍道駅からJR木次線で1時間半の奥出雲町へ行ってきました。1両編成の電車はバスのように整理券を取って運賃箱に料金を入れる方式!山の中の草木の間を縫うように進み、視界が開けると仁多米の棚田が広がり、途中トロッコ列車の「奥出雲おろち号」とすれ違いながら横田駅に到着。

坂道をダッシュして閉館時間が迫っている「たたらと刀剣博物館」へ。いつもは展示されている日本刀が神楽で使用中の為見られなかったのですが、天秤たたらの復元模型でたたらを踏む体験に挑戦!要領が悪いのか膝への負担が半端ないです。4~5回で終了。この後「そろばんと工芸の館」を訪問し、そろばん最中を購入。

雲州そろばん最中

そろばん玉の形をした最中4個が箱に入っています。少し粒が残るくらいのなめらかな餡は程よい甘さです。30年くらい前から地元の和菓子屋さんが作っていると、そろばん協業組合の方が言っていました。

たたら製鉄とそろばん

「質の雲州そろばん」と言われますが、たたら製鉄でできる良質な刃物と、硬い木をくり抜いて作るそろばん玉の製造が結びついて、雪深い奥出雲の冬の間の産業として発展したのだそうです。下の写真はたたら博物館の八岐大蛇のオブジェです。

八岐大蛇オブジェ

夕食で行った料理屋のご主人がいろいろ情報をくれまして、木次線には日本で3か所しかないスイッチバックがあって、景色のいい所でしばらく停まるとか。他にも巨石の景勝地や映画の撮影場所、おろちループ、自然博物館のナイトミュージアムなど、今回は無理でしたが時間があれば行ってみたかったですね。

雲州そろばん最中

そろばんと工芸の館 島根県仁多郡奥出雲町下横田76-5 0854-52-0839 1・2月の日曜休 4個入り810円
以前は透明袋に5個入りでした。作っているのは松浦商店で、横田駅前の店はやめてしまったようですが、おろちループの道の駅でも販売しているようです。

銅鐸最中加茂いわくら:島根県雲南市

入れ子の銅鐸など39個

宍道駅からJR木次線に乗って、やって来たのは加茂中駅。他に乗降客は無く、寂しい駅でしたが、駅長さん(?)が親切にもタクシーを呼んでくれて、加茂岩倉遺跡へ向かいました。

まずは遺跡のガイダンス施設に立ち寄ってレプリカを見学。発掘当時の様子のビデオでは全国からやって来た見学者の長蛇の列にびっくり。今は他に見学者は無く、館長さん(?)が丁寧な説明とお茶のサービスをしてくださいました。出土した39個のうち、13組が中型の中に小型の銅鐸が入っている入れ子の状態だったそうです。遺跡を見た後はタクシーで最中屋さんへ。

銅鐸最中加茂いわくら

入れ子の銅鐸を表現したという最中は、程よい甘さの餡に弾力のある厚めの求肥が入っています。お店は和洋両方のお菓子を販売していて、背高帽子を被ったパティシエのような方が出てきてちょっとびっくりしました。

荒神谷遺跡との関係は?

農道の工事中に全国最多となる39個の銅鐸が見つかったのですが、やはり全国最多の銅剣が埋められていた荒神谷遺跡から直線距離で3.4kmと近く、×印のついたものが両方の遺跡から出土したこともあり、この2つの遺跡の関わりが研究されているそうです。

加茂岩倉遺跡

発掘された銅鐸は島根県立古代出雲歴史博物館にありますが、加茂には岩倉遺跡の他に、三角縁神獣鏡が出土した誰のものかわからない石棺や、元旦に岩の中にいる金の鶏の鳴き声を聞いた人は幸せになるという金鶏伝説の大岩もあります。

銅鐸最中加茂いわくら

菓子工房たてたに 雲南市加茂町東谷88-2 0854-49-7020 不定休 1個130円
JR木次線の加茂中駅と加茂岩倉遺跡の中間で、駅から歩くと20分ほどかかります。出雲神話街道(国道54号)沿いで、宍道からは約10km。駐車場10台あります。

弥生銅剣:島根県出雲市

荒神谷遺跡の銅剣

日本全国で見つかった銅剣はおよそ300本でした。荒神谷で大量の銅剣がみつかるまでは・・・。ということで出雲市の南部、山陰道の斐川インター近くにある荒神谷遺跡に行ってきました。

夏には古代の蓮の種から再生した二千年蓮を見に多くの人が訪れるとのことですが、この日は数人のみ。予約してなかったのですが、ボランティアガイドさんが遺跡を案内してくれました。銅剣が果たした役割や、銅剣が不要のものとなって埋められたことに気候変動が関係している推測などとても興味深いお話が聞けました。

弥生銅剣

銅剣の形の皮種には、最中としては珍しい餡が入っています。小豆を炊く途中で皮を剥いで炊きあげ、こし餡にした皮剥餡(出雲地方では朝汐餡という)に、皮付きの小豆粒が少し入っています。まったりした食感の甘めの餡。

その数358本!

それは昭和58年(1983年)の広域農道の調査で須恵器の欠けらが見つかったことから始まりました。調査を始めて2日後に銅剣を発見。次々に土の中から銅剣が現れ、一旦調査を中断。全国から専門家を呼び寄せ、調査体制を整え直し発掘再開。最終的に銅剣358本、銅鐸6個、銅矛16本が出土したのでした。

荒神谷遺跡

発掘された銅剣は島根県立古代出雲歴史博物館にありますが、荒神谷博物館をのんびり見学。ミュージアムショップでは銅剣の箸置きを購入しました。神々をイメージしたブレンド茶やここで収穫された古代米、意外と知らない出雲神話を面白く紹介した絵本などもありました。

弥生銅剣

福泉堂 出雲市斐川町直江1978-4 0853-72-0078 日曜午後休 1個135円
国道9号と山陰道の斐川インターが交差する「荒神谷入口」交差点近くで、地図で見ると9号沿いですが、入口は道1本入ったところです。駐車場あります。