土器ドキ最中:新潟県十日町市

火焔型土器と雪と縮の町

太助とあおに別れを告げて向かったのは新潟県。谷川岳を過ぎると道路脇には解け残った雪溜りが出現し、あっちにもこっちにもと驚いているうちに十日町市に到着。今回の旅企画の中心である十日町市博物館へ!

2年前の2020年に新築再開館しました。雪と信濃川の展示室では再現された昔の家の中にはいったり、織物の歴史室では柄や色を選んで着物に仕立てるシミュレーションをしました。メインの縄文時代の展示室には土器の立体パズルや触れるレプリカがあり、子供たちも楽しめます。縄文人のアバターを作るコーナーでは衣装を選んで顔を撮影すると、パネル画面の縄文村にアバターが現れて猪を仕留めたり魚を獲ったりするのですが、縄文人がみんなマスクをしていて笑いました。

62.土器ドキ最中

火焔型土器の最中は十日町産こがねもちを使用した皮種に、程よい甘さの少し固めの小豆餡が入っています。包みの模様は十日町名産の縮の着物で、5種類ありますが中身は同じです。地元高校生の発案によりできた最中です。5個入りと10個入りもあり、連休以外は予約したほうがいいようです。博物館のショップでも買えます。

新潟県初の国宝

縄文展示室の中には国宝展示室があって火焔型土器や王冠型土器が展示されています。笹山遺跡で発見された火焔型土器14点を含む57点が新潟県初の国宝に指定されています。展示物はフラッシュを使わなければ撮影できます。中央の展示ケースには2点の火焔型土器が一カ月交代で展示されていて、この日は高さ46.5cmの縄文雪炎(じょうもんゆきほむら)と呼ばれる国宝指定番号1でした。

62.国宝火焔型土器「縄文雪炎」

なんだかテンションが上がって、旅の仲間とともにミュージアムショップであれこれ買い込んでしまいました。さらに道の駅で笹団子など買い、信濃川を渡って西へ。途中で蒲生の泥火山を見学。とても小さいものですが、全国的に珍しいそうで、時折泥が湧き上がり、辺りにはガソリンのようなにおいが漂っていました。県道に戻り、すぐ先の儀明の棚田を眺めてから上越市に向かいました。

土器ドキ最中

木村屋 新潟県十日町市駅通り98番地1 025-752-2280 無休 1個160円 箱入り10個1810円
十日町駅の東口から駅通りを150mほど。パイ生地の饅頭やフリアン、パウンドケーキなどの他、柿の種の量り売りもやってます。妻有ショッピングセンターに支店があります。本店は駐車場はありませんが、お茶がいただける休憩スペースがあります。

多助俵最中:群馬県沼田市

「沼田城下の塩原太助」

群馬県の上毛かるたの「ぬ」です。沼田藩の領地だったみなかみ町出身の塩原太助は、貧しさから抜け出して江戸で炭屋となって大成功した立身出世の人物です。太助と多助で字が違うという謎は後ほど解説しますが、まずは旅の様子を。

沼田インターのすぐそばに店があるので、まず最中を購入してからみなかみ町へ行く途中に沼田城址に寄りました。石垣が少し残るのみで今は公園になっており、復元された本丸太鼓櫓と、真田信之と小松姫の像があります。最中といっしょに買ったみそ饅頭(餡が入っていない饅頭を串に刺し、甘いみそだれを付けて炙ったもの)を食べてから散策しました。城の北西は急斜面になっており、眺望が楽しめました。

61.多助俵最中

包み紙には多助、皮種には太助と書かれた炭俵の形です。練り気味の少し甘めの小豆餡がたっぷり入って満足感があります。ばら売りの包みは袋型ですが、こちらの3個パックは炭俵の形に包んであります。

塩原多助一代記

太助は義母に虐められふる里を追われましたが、江戸で炭屋に奉公し、真面目な働きぶりで主人に認められて店を出すことができました。炭の量り売りを始め、炭粉を固めた新製品を発売するなどして成功を収めました。その後も簡素な暮らしを続け、常夜燈の設置や寺社への寄進などで世の為人の為に財を使いました。後にこれに感激した三遊亭圓朝によって落語の人情噺「塩原多助一代記」が創作され、大人気を得て出版物や歌舞伎にもなりました。戦前には教科書にも載っていたそうです。フィクション部分が多いので本名の太助を多助に変えたという訳です。

61.太助とあおの像

みなかみ町の塩原太助翁記念公園には、渋沢栄一揮毫の記念碑の横に多助と愛馬あおの像があります。多助の命を救った愛馬あおとの別れの場面です。あおはこの時涙を流したといいます。また、あおは多助の命を狙った者が誰かわかっていて後に復讐を遂げるのです。すごい、すごすぎる。実はこの場面は創作で、あおがいたかどうかもわかりませんが、あおを繋いだ木というのが3か所ほど伝わっているようです。

多助俵最中

大丸屋製菓太助庵 群馬県沼田市横塚町1366-3 無休 0278-22-2489 1個160円 3個パック580円
沼田インターのすぐ近く、ケンタッキーFCの隣です。どら焼きや羊羹、練り切りなどがあり、群馬名物のみそ饅頭(焼きまんじゅう)は注文を受けてから焼きます。4連なので1串買おうと並んだら前にいた地元の人は10串買っていました。駐車場広いです。みなかみ町の太助公園前にはこの店のドライブインがあります。

金太郎もなか:神奈川県南足柄市

足柄と言えば金太郎

天狗様の寺を後にして来た道を戻り、足柄の道の駅で昼食を取りました。「よいしょの金太郎」という市のキャラクターの人形が出迎えてくれます。県産の牛、豚、鶏を使った料理や足柄茶のそばなどのメニューが充実。デザートに足柄茶のソフトクリームを食べ、土産店で天狗や金太郎の菓子などを購入し、金太郎のふる里へ。その前に、最乗寺へ行く前に買ってあった最中がこちら。

60.金太郎もなか

まさかりを担ぐ姿とくまと相撲を取る金太郎が描かれた昭和レトロな雰囲気の最中。つぶし気味の小豆餡が程よい甘さで、余計な味がしない王道最中です。柚の白餡もあります。

金太郎伝説のふところへ

大雄山駅と足柄峠の中間に金太郎の生家があります。四万長者の娘、八重桐が嫁ぎ先一族の争いを避けて実家に戻り、金太郎を産んだということです。長者屋敷跡や金太郎の遊び石などを見て、産湯にその水を使ったという夕日の滝まで歩いてみました。キャンプ施設の先に金太郎の力水の石碑があり、少し行くと水の音が聞こえ樹々の間に滝が見えてきます。ここで滝行が行われることもあるようですが、この日は中高年の夫婦がハイキングに来ているのみでした。

60.夕日の滝

獣たちと遊んで大きくなった金太郎は源頼光と出会い、坂田金時として怪物退治をするのですが、実は金太郎伝説は足柄峠を挟んだ静岡県小山町にもあり、そちらの方が広く知られる伝説の元になったそうです。この二か所は本家争いをすることなく、協力して金太郎を盛り上げているようです。帰りは足柄峠を越えて小山町側に下りました。残念ながら雲が空を覆い、峠からの富士山は臨めませんでした。

金太郎もなか

松尾屋菓子店 神奈川県南足柄市飯沢7-1 0465-74-0127 日曜定休 1個160円
大雄山駅前通りを最乗寺へ行く途中の川の手前左手にあります。天狗煎餅やだんご、あんころ餅などもあるまんじゅう屋といった雰囲気です。店前に6台駐車できます。

てんぐ最中:神奈川県南足柄市

天狗が護る最乗寺

遠出して春の野山を楽しむべく南足柄市に行って来ました。足柄と言えば金太郎ですが、まずは天狗で有名な大雄山最乗寺へ向かいました。

大井松田のインターから南足柄へ向かう道は、曲がることなく最乗寺まで続いています。道すがら大雄山駅の脇にある和菓子店で最中を購入しました。小さな駅ですがハイキング姿の人々が次々に出てきていました。

59.てんぐ最中

大天狗の顔を模った最中です。こがし種には小豆餡、紅白の皮種には栗入りの白餡が入っています。材料には塩の表示がないのですが、塩味を感じるつぶし気味の餡で甘さは控えめです。包みの「てんぐ」の文字が天狗の横顔になっています。

火炎を背負い白狐に乗る道了尊

街を抜けるとまず桜に囲まれた仁王門が現れました。さらに杉木立の道を2kmほど行くと、道はそのまま駐車場へ入ります。20台程の区画が7~8ヵ所ありますが、開山忌が終わった直後の平日だったせいか空いていました。総受付前の広場から本堂を過ぎると奥には天狗像が護る結界門があります。そのまた奥には奉納された大きな高下駄の横に、白狐に乗り、幸運の蛇を従えた道了尊の天狗姿の像が立っています。

59.最乗寺道了尊

最乗寺は曹洞宗の寺で、開山したのは了庵慧明禅師ですが、その弟子の道了尊が近江から天狗となって飛んできて、岩を砕き谷を埋めて建設を手伝ったのです。やがて禅師がこの世を去ると、寺を護る為にまた天狗に化身して山中に飛び去りました。そうして道了尊は永遠に寺の守護神となったとのことです。道了尊天狗の嘴と狐の鼻先は、ご利益を求める人々が触るのか、つるつるに光っていました。

てんぐ最中

加藤屋菓子店 神奈川県南足柄市関本591-1ヴェルミ3 0465-74-0710 月曜定休 1個120円
大雄山駅脇の並びの1階にあります。新宿中村屋の商品も扱っていて、看板にも中村屋の文字が併記してあります。建物を周った所に市営駐車場があるのですが、短時間の客は駅の送迎用スペースに駐車しているようです。

歌舞伎最中:山梨県市川三郷町

市川團十郎家発祥の地

ゆばを買いに行くという一家の車に便乗して山梨県身延町へ出かけました。製造元の直売店でゆば丼の素を購入し、隣の市川三郷町へ。目当ては最中と歌舞伎をテーマにした公園です。

合併する前の旧三珠町は歌舞伎の市川團十郎ゆかりの地ということで、歌舞伎文化公園があります。20台ほどの駐車場はほぼ満車で、芝生広場の奥には歌舞伎をテーマにデザインされた複合大型遊具があり、たくさんの親子連れで賑わっていました。小さな噴水と小川のさらに奥には上野城址に立つ天守を模したふるさと会館、そして公園の隣には歌舞伎の資料館があります。公園に行く前に購入した最中がこちら。

58.歌舞伎最中

皮種は市川團十郎家の三枡紋の一部を模ったものでしょうか。餡は大納言の粒が残る仕上がりになっており、甘さは控えめです。包みには團十郎の十八番である「暫」が描かれています。隈取が描かれた楕円の箱の10個入りもあります。昼に食べたほうとうが正統派からかけ離れた味だったので、口直しに道明寺桜餅を購入し、すぐに食べました。塩味の効いた桜葉に救われました。

甲斐武田の武将に仕えた曽祖父

初代團十郎の曽祖父が甲斐の一条信龍に仕えていたことから、その地を市川家発祥の地として像の建立を考えていた十代と十一代。この願いを十二代が叶え、地元の協力を得て旧三珠町に顕彰碑を建てたとのことです。碑には市川家の三枡紋と役者絵、裏には協力者に対する十代團十郎の感謝の言葉が刻まれています。また、本名の堀越の家紋が牡丹であることから碑の周りには牡丹が植えられています。

58.歌舞伎顕彰碑

市川三郷町は和紙の産地であり、書道用紙も作られていることから、中国の名碑を集めた大門碑林公園があります。以前知らずに通って、山に沿った道に突然現れた中国風の建物にびっくりしました。今回は立ち寄りませんでしたが、拓本の体験ができるようなのでまた行こうかと思っています。歌舞伎資料館の牡丹が咲く4月下旬がいいかな。

歌舞伎最中

きんこう堂 山梨県西八代郡市川三郷町市川大門2735-2 055-272-0377 不定休 1個140円 隈取箱10個入り1680円
JR身延線の市川本町駅の北500mほどの県道3号沿いです。淡い色合いであっさりした甘さの練り切りやいちご大福、カステラが評判のようです。お彼岸で店の奥が慌ただしいい様子でしたが、優しい店員さんが対応してくれました。店の前に3台ほど駐車できます。