てんぐ最中:神奈川県南足柄市

天狗が護る最乗寺

遠出して春の野山を楽しむべく南足柄市に行って来ました。足柄と言えば金太郎ですが、まずは天狗で有名な大雄山最乗寺へ向かいました。

大井松田のインターから南足柄へ向かう道は、曲がることなく最乗寺まで続いています。道すがら大雄山駅の脇にある和菓子店で最中を購入しました。小さな駅ですがハイキング姿の人々が次々に出てきていました。

59.てんぐ最中

大天狗の顔を模った最中です。こがし種には小豆餡、紅白の皮種には栗入りの白餡が入っています。材料には塩の表示がないのですが、塩味を感じるつぶし気味の餡で甘さは控えめです。包みの「てんぐ」の文字が天狗の横顔になっています。

火炎を背負い白狐に乗る道了尊

街を抜けるとまず桜に囲まれた仁王門が現れました。さらに杉木立の道を2kmほど行くと、道はそのまま駐車場へ入ります。20台程の区画が7~8ヵ所ありますが、開山忌が終わった直後の平日だったせいか空いていました。総受付前の広場から本堂を過ぎると奥には天狗像が護る結界門があります。そのまた奥には奉納された大きな高下駄の横に、白狐に乗り、幸運の蛇を従えた道了尊の天狗姿の像が立っています。

59.最乗寺道了尊

最乗寺は曹洞宗の寺で、開山したのは了庵慧明禅師ですが、その弟子の道了尊が近江から天狗となって飛んできて、岩を砕き谷を埋めて建設を手伝ったのです。やがて禅師がこの世を去ると、寺を護る為にまた天狗に化身して山中に飛び去りました。そうして道了尊は永遠に寺の守護神となったとのことです。道了尊天狗の嘴と狐の鼻先は、ご利益を求める人々が触るのか、つるつるに光っていました。

てんぐ最中

加藤屋菓子店 神奈川県南足柄市関本591-1ヴェルミ3 0465-74-0710 月曜定休 1個120円
大雄山駅脇の並びの1階にあります。新宿中村屋の商品も扱っていて、看板にも中村屋の文字が併記してあります。建物を周った所に市営駐車場があるのですが、短時間の客は駅の送迎用スペースに駐車しているようです。

歌舞伎最中:山梨県市川三郷町

市川團十郎家発祥の地

ゆばを買いに行くという一家の車に便乗して山梨県身延町へ出かけました。製造元の直売店でゆば丼の素を購入し、隣の市川三郷町へ。目当ては最中と歌舞伎をテーマにした公園です。

合併する前の旧三珠町は歌舞伎の市川團十郎ゆかりの地ということで、歌舞伎文化公園があります。20台ほどの駐車場はほぼ満車で、芝生広場の奥には歌舞伎をテーマにデザインされた複合大型遊具があり、たくさんの親子連れで賑わっていました。小さな噴水と小川のさらに奥には上野城址に立つ天守を模したふるさと会館、そして公園の隣には歌舞伎の資料館があります。公園に行く前に購入した最中がこちら。

58.歌舞伎最中

皮種は市川團十郎家の三枡紋の一部を模ったものでしょうか。餡は大納言の粒が残る仕上がりになっており、甘さは控えめです。包みには團十郎の十八番である「暫」が描かれています。隈取が描かれた楕円の箱の10個入りもあります。昼に食べたほうとうが正統派からかけ離れた味だったので、口直しに道明寺桜餅を購入し、すぐに食べました。塩味の効いた桜葉に救われました。

甲斐武田の武将に仕えた曽祖父

初代團十郎の曽祖父が甲斐の一条信龍に仕えていたことから、その地を市川家発祥の地として像の建立を考えていた十代と十一代。この願いを十二代が叶え、地元の協力を得て旧三珠町に顕彰碑を建てたとのことです。碑には市川家の三枡紋と役者絵、裏には協力者に対する十代團十郎の感謝の言葉が刻まれています。また、本名の堀越の家紋が牡丹であることから碑の周りには牡丹が植えられています。

58.歌舞伎顕彰碑

市川三郷町は和紙の産地であり、書道用紙も作られていることから、中国の名碑を集めた大門碑林公園があります。以前知らずに通って、山に沿った道に突然現れた中国風の建物にびっくりしました。今回は立ち寄りませんでしたが、拓本の体験ができるようなのでまた行こうかと思っています。歌舞伎資料館の牡丹が咲く4月下旬がいいかな。

歌舞伎最中

きんこう堂 山梨県西八代郡市川三郷町市川大門2735-2 055-272-0377 不定休 1個140円 隈取箱10個入り1680円
JR身延線の市川本町駅の北500mほどの県道3号沿いです。淡い色合いであっさりした甘さの練り切りやいちご大福、カステラが評判のようです。お彼岸で店の奥が慌ただしいい様子でしたが、優しい店員さんが対応してくれました。店の前に3台ほど駐車できます。

秋葉纏:静岡県袋井市

天狗様の引っ越し先

以前浜松市の秋葉(あきは)神社に因んだ最中を紹介しましたが、明治の廃仏毀釈で神社に変わった秋葉山から秋葉三尺坊大権現が引っ越したのが袋井市の可睡斎です。秋葉の火まつりが近づく12月中旬に行ってきました。

可睡斎には秋葉総本殿の他に、本堂、僧堂、護国塔、輪蔵堂などいくつもの建物があります。写真撮影をしていたコスプレイヤーに話しかけ、祈祷の合図の法螺貝が響くなか、落葉し始めた楓を踏みしめて境内を散策しました。家康が命拾いをしたという六の字穴は、以前入ったことがあるのですが、今は立ち入り禁止になっていました。それと、あまり知られていないのですが、下の池の端には330本余りの纏が奉納されている纏殿があります。扉のガラス越しに中を見ることができました。ということで・・・

57.秋葉纏

纏をそのまま模った最中です。紙の馬簾が巻かれてさらに纏っぽいパッケージになっています。紫の紐がかかっているのは小倉餡で、赤は白餡です。複雑な甘みの餡で、注文を受けてから餡を詰めてくれます。数店が共通の意匠で発売しましたが、今は他に1店のみで、そちらは馬簾が付いていない密封パッケージです。

家康の前で居眠り

可睡斎は元は東陽軒という名でした。家康の御前で居眠りをしてしまった和尚に「和尚、睡る可し(ねむるべし)」とかけた言葉から可睡斎と呼ばれるようになりました。1,200体のひなまつり、牡丹まつり、風鈴まつり、秋葉の火まつりなどで一年中賑わいます。また、瑞龍閣の天井画や襖絵、大庭園や日本一の大東司(だいとうす=トイレ)などは有料で拝観できます。境内を全て見るには4時間半かかるそうです。

57.秋葉総本殿

地元の人々から「お可睡」と呼ばれて親しまれている萬松山可睡斎は曹洞宗の禅道場で、遠州三山のひとつです。あとの二山も袋井市にあり、北東に位置する医王山薬王院油山寺は行基開山の真言宗の寺。孝謙天皇の眼病を治した目の霊山で、通称「あぶらやま」。そして高野山真言宗の別格本山の法多山尊永寺は「はったさん」と呼ばれ、厄除け団子が名物です。こちらは東南のエコパスタジアムの奥に位置しています。

秋葉纏

菓子司冨士屋 静岡県袋井市大門17-22 0538-42-3064 火曜定休 1個145円
可睡斎ではなく法多さんへと続く道の入口信号の近くです。かりんとう饅頭やどら焼きの他にクッキーなどの洋菓子もあり、小豆たっぷりのかき氷やぜんざいが店内で食べられます。駐車場は裏にもあります。

二俣城最中:静岡県浜松市

紅葉の山城ウォーキング

ずっと誤解していたのが、この二俣城。浜松市の天竜区二俣に鳥羽山公園という桜の名所がありまして、これが山城跡ということなので、てっきり二俣城だと思っていました。地図で見る二俣城の位置に違和感があったのですが、その違和感の正体がやっとわかりました。桜の名所は鳥羽山城で、二俣城は隣の小山だったのです!こんな近くに城が二つ!?という訳で紅葉の名所だという二俣城に行ってきました。

天竜川が山から出てクランク状に蛇行する縁に二俣城はあります。本丸には野面積みの天守台が残るのみですが、一段下の二の丸は赤と橙と緑が混ざった錦のような樹々に囲まれていました。二の丸と南曲輪の間の小径を下りていくと、天竜川に出ました。そのまま堤防を歩いて鳥羽山城へと続く坂へ。小山をぐるりと回り、紅の落葉に覆われた石段を上って本丸へ。こちらも天守はありませんが、木造の展望台からは二俣の街が見渡せます。

56.二俣城最中

発売より50年、贈答用として人気が高いのが城を模ったこちらの最中。砂糖と水飴で炊いた程よい甘さの小豆餡が入った王道最中です。包み紙の城の遠景には蛇行する天竜川も描かれています。

家康と信玄、そして信康自刃の城

元亀3年、遠江に侵攻した武田軍は数で圧倒的に勝っていながら、二俣城を攻略できずにいました。岩盤に立つ二俣城には井戸が無く、櫓を組んで天竜川の水を汲み上げていました。そこで武田軍は大量の筏を流し、櫓を破壊して水を絶ち、落城させたのです。続く三方ヶ原の戦いで家康は大敗しますが、信玄の急死と長篠の戦いで武田軍に勝ったことから反撃を開始。向いの鳥羽山に陣を取り、二俣城を奪い返したのでした。

56.二俣城

その後浜松城主となった堀尾吉晴が二俣城に石垣と天守を築き、鳥羽山城には館が置かれました。さて、二俣城は家康の長男信康が切腹させられた城としても有名です。二俣城近くの清龍寺に信康廟があり、本田宗一郎ものづくり伝承館前の復元井戸櫓の側から寺に行けます。尚、二俣城の御城印は天竜浜名湖鉄道の天竜二俣駅の観光協会で入手できます。

二俣城最中

むらせや 静岡県浜松市天竜区二俣町二俣340-1 053-925-2348 無休 1個165円
二俣城から北へ1km余りの天竜区役所前の信号を右折した右側、栄町の信号との間です。信康餅や栗蒸し羊羹などの和菓子の他、プリンやスティック状チーズケーキが人気です。駐車場9台。

すっぽんもなか:静岡県浜松市

浜名湖の花博跡地へ

以前浜名湖北岸の三ヶ日みかんの最中を紹介しましたが、今回もまた三ヶ日経由で浜名湖に行って来ました。前回場所がわからなかったみかんの石碑の写真を撮って、西岸をぐるりと回り、弁天島から浜名湖花博跡地の浜名湖ガーデンパークに到着。

入口付近はファミリーサイクルに乗った親子や犬を連れた人々で賑わっていますが、敷地が広いので奥へ進むと人がまばらになってきます。カレーパンを買い食いしてから、エレベーターで13階相当の展望塔へ。こちらは入場料が300円ですが、さすがに眺望がよく、県外からの観光客っぽい人が富士山を見つけて写真に収めていました。

55.すっぽんもなか

さて、こちらは浜名湖周辺の名産品のひとつ、すっぽんを模った最中です。つぶし気味の小豆餡が、しっかりした餅感がある求肥にからむ感じに仕上がっています。

鰻だけじゃないんです

浜名湖と言えば、鰻、しじみ、舘山寺温泉、ついでに三ヶ日みかんといろいろありますが、すっぽんの名産地でもあります。120年ちかく前に服部中村養鼈場が初めてすっぽんの養殖を始め、今も産地としては日本一で、天然に近い味が特徴です。当初はほとんどが京都の高級料亭に出荷されていましたが、今では市内でもすっぽんを楽しめる店が増えました。

55.浜名湖ガーデンパーク

上の画像はガーデンパークですが、浜名湖の東隣にある佐鳴湖にはすっぽんの供養碑があるとのことです。40年ほど前から8月中旬に浜松料理協同組合の主催で供養祭が行われ、いまでは全国からの参加もあるそうです。ガーデンパークが意外に楽しかったので、次回ゆっくり来てクルーズ船に乗ったり、佐鳴湖にも寄ろうかと思っています。花の季節にでも。

すっぽんもなか

近江屋 静岡県浜松市西区雄踏町宇布見7962 053-592-1308 水曜定休 1個165円
店名は四代目近江屋。県道62号浜松雄踏線の北側に平行する雄踏街道(一部一方通行)沿いにあります。洒落た店構えで、まんじゅう、どら焼きの他、サブレ、釜焼きドーナツ、クロッカンシュークリームなどいろいろあります。店舗前に4台駐車できます。