修善寺物語:静岡県伊豆市

修善寺に伝わる古面

猪最中を購入後、わさび最中を買う予定でしたが、月ヶ瀬の道の駅も発売元の修善寺支店でも売り切れ!本店までは10kmほど戻らないとならなかったので、次回まで持ち越しとなりました。

気を取り直して、修善寺にて弘法大師の独鈷の湯周辺を散策し、修善寺(地名ではなく寺のほう)の宝物殿を見学しました。ここには歌舞伎の修善寺物語の元となった古い面が収められています。ゴツゴツとした面は中央付近で2つに割れており、空虚な目が大きく空いています。漆の湯に入れられた頼家の姿を映しているとか。なんだか不気味ですが、そんな面の最中が修善寺にあるのです。

44.修善寺物語

修善寺宝物殿の古面を模った皮種の中には、粒立った甘めの小豆餡が入っています。包みには能面に向かって槌を振り上げる面作り師の姿が描かれています。つまり、包みは修善寺物語の一場面、中身は物語の元になった古面となっているのです。

頼家から依頼を受けた面作り師は・・・

何度打っても頼家の面に死相が現れる為、納品できずにいた面作り師夜叉王の元に、しびれを切らした頼家が訪ねてきます。怒る頼家をなだめようと家人が死相の出た面を渡すと、出来栄えに満足した頼家は面を持ち帰ります。己の未熟を恥じた夜叉王は自分が打った面を全て砕こうとするのでした。ところがその夜、頼家は夜討ちに合って命を落とします。死相が現れていたのは未熟ゆえではなく、死相をも表す技であったのだと夜叉王は知るのでした。

44.修善寺の独鈷の湯

温泉街の真ん中を流れる桂川の中には、弘法大師の独鈷の湯が沸き出ています。寺から出たらちょうど雨が降ってきて、さっきまで湯に足を浸していたたくさんの観光客がいなくなっていました。桂川を遡れば竹林の小径、さらに少し行くと修善寺梅林やゆったり過ごせるテーマパーク修善寺虹の郷がありますが、また来るよ、伊豆。わさび最中を買いにね。

修善寺物語

和楽 静岡県伊豆市柏久保1355 0558-72-4717 木曜定休 1個130円+税
伊豆箱根鉄道の修善寺駅の北側。静岡銀行裏手の静かな場所にある白黒のすっきりした外観の店です。みたらし団子やどら焼きなどの気軽なものから上生菓子までいろいろ。季節限定商品も多種あります。

猪最中:静岡県伊豆市

河津七滝と浄蓮の滝

伊豆半島には時々行くのですが、今回は滝と最中を目的に行ってきました。まずは河津七滝(ナナダルと読みます)。河津ループ橋を降りて七滝に到着。一番手前の大滝へは温泉敷地内の歩道をずっと、ずーっと下って行きます。川床へ行くには温泉の入場料が必要なので、展望台から落差30mの滝を眺めました。次の滝へは車道まで一旦戻るので、体力を消耗します。もう一つ上の出合滝を見て七滝は終わりにしました。

次は国道を北へ戻って、浄蓮の滝へ。「天城越え」のヒットで一躍有名になった滝です。伊豆半島は世界ジオパークに認定されていて、七滝もそうでしたが、浄蓮の滝でも溶岩が柱状に冷え固まった柱状節理を見ることができます。どうせ歌で有名になっただけだろうと思っていましたが、なかなかの滝でした。偏見を反省して、滝壺近くのわさび直売店でわさび漬けを購入しました。

43.猪最中

伊豆の最中と言えば、この猪最中です。丸々とした猪の皮種は少し厚めで、ほんのりと塩味を感じる甘めの餡が入っています。自分で餡を詰めるタイプは2個入りです。亥年の正月には遠方のスーパーマーケットなどでも販売されることも。

いのしし村の名残り

浄蓮の滝の近くにはかつて天城いのしし村という観光施設がありました。夜行性の猪を馴らして輪くぐりなどの芸を披露したりレースをしたりして、最高で年間40万人が訪れる単一動物のテーマパークにしては大人気の施設だったのですが、バブル後の不況で2008年に閉園しました。

43.猪のはく製

浄蓮の滝観光センターではいのししカレーや猪あぶり重などが食べられます。おろしたてわさびが付いた蕎麦もあります。食堂の壁にはいのしし村の大きなイラストが掛かっていて名残りを留めていました。また、滝への遊歩道途中のジオガイド案内所には猪のはく製が置いてあります。開いている時間は限られますが、幼稚園児くらいなら背中に乗せてもらえます。

猪最中

小戸橋製菓 静岡県伊豆市月ヶ瀬580-6 0558-85-0213 無休 1個140円
伊豆市の本店は月ヶ瀬インターから南へ1.5~6kmの国道414号沿いで、猪最中の大きな看板が目印。どら焼きや洋菓子もあります。ひざ丈ほどの木彫りの猪が明るい店内で出迎えてくれます。伊豆の国市に支店があります。

姫様もなか:静岡県浜松市

東海道の別道―姫街道

細江の街で銅鐸最中の店と間違えて入った店で姫様もなかを発見しました!その名の由来は、東海道から外れて浜名湖の北を通る姫街道です。江戸時代に浜名湖の渡しやチェックの厳しい新居の関所を避けて気賀の関所を通る女性が多く、大名家や公家の女性も利用していたそうで、姫街道と呼ばれるようになったとのことです(諸説あり)。篤姫もこの姫街道を通ったそうです。

42.姫様もなか

大名家の女性用駕籠を模った最中で、包みには衣装を入れて運ぶ挟み箱が描かれています。程よい甘さの粒餡としそ餡の2種類がありますが、他の菓子を眺めていたら、常連らしき人がしそ餡を全部買い占めていってしまいました。また買いに行かねば。

長坂の旧道と気賀の関所

姫街道は隣の磐田市の見付宿から始まり、池田の渡しで天竜川を越えて北寄りに進み、気賀の関所を通って浜名湖を北に迂回し、本坂峠を超えて愛知県豊川市の御油で東海道に合流します。気賀の手前に旧道が残っている場所があるので行ってみました。今は県道として整備された姫街道の脇にある旧道は、老ヶ谷の一里塚からさらに細くなり車が入れない長坂へと続きます。こんな所を駕籠を担いで歩いたの?と疑いたくなるような急な坂は前日の雨で湿っており、滑らないよう気を付けて下りました。

42.気賀関所

こちらは復元された気賀の関所で、元の位置より少し西に建っています。案内所で通行手形を買うと入れます。着替え体験ができ、子供姫や侍、町娘、忍者などの他、おんな城主直虎や子供用の井伊の赤備え甲冑もあるようです。細江町では4月の第1土・日に姫様道中が行われ、90人の大行列が桜並木を歩き、腰元や奴衆の踊りも披露されます。来年から日程が変わるかもしれないので、行く前に確認を。

姫様もなか

外山本店 静岡県浜松市北区細江町気賀68-2 053-522-0172 木曜定休 1個129円+税
姫街道の気賀四ツ角信号を北へ100mほどのところです。銅鐸最中の外山製菓と間違えたのですが、親切に道案内してくれました。姫様道中では休憩中の姫様に姫様もなかを出すのが恒例となっているそうです。洋菓子の姫様スティックが一番人気のようです。店舗横に駐車場あります。

銅鐸最中:静岡県浜松市

銅鐸と可憐な花の公園

やっと暑さが収まってきた秋分の頃、花を見に行こうとの誘いを受けてやって来たのが浜松市細江のどうたく公園。絶滅危惧種のシラタマホシクサを地元のNPOが育てている場所です。テレビのローカル番組で紹介されたらしく、谷合いの小さな公園には4組ほどの人たちが来ていて、白い小さな花にカメラを向けていました。

この公園は斜面に張り付くように作られた小さなもので、駐車場から土を固めた急な階段を上がると柵に囲まれた発掘場所に銅鐸のレプリカが置かれています。子供たちが遊べるような公園ではありませんが、この上には手作りの小さなフィールドアスレチックがあるようです。この日はゲートが閉まっていました。

41.銅鐸最中

細江はみそ饅頭が有名で、小さな街に和菓子店がいくつもありますが、そのうちの1軒に銅鐸最中があります。三遠式銅鐸の皮種に入っているのは、粒餡、白餡、みかん餡の3種類。程よい甘さの餡がたっぷりです。白餡には小豆粒が混ざっており、みかん餡は刻んだ皮のほのかな苦みが白餡とよく合います。

浜名湖周辺で26個

細江町では9個の銅鐸が見つかっており、この滝峯の谷の斜面には点々と6個が見つかっています。どうたく公園のものは、滝峯才四郎谷銅鐸と呼ばれる近畿式銅鐸です。平成元年に研究者が発見したもので、金属探知機による発見は全国初とのことです。この付近では三遠式銅鐸と近畿式銅鐸が出土しており、同じ集団によって埋められたと推測されています。これにより2つの銅鐸圏を巡る議論がより複雑になったようです。

41.銅鐸公園

公園を見学した後は、細江町の民俗資料館へ。1階は浜名湖の漁や藺草と畳表生産の道具、2階は出土した銅鐸と姫街道の資料が展示されていています。このうち悪ヶ谷銅鐸はレプリカで、本物は東京国立博物館にあります。入場無料で、申し出れば展示品の写真撮影OKです。姫街道については別の最中があるので近々紹介します。

銅鐸最中

お菓子のとやま 静岡県浜松市北区細江町気賀129-1 053-522-0321 火曜定休、10日火曜は営業・翌日休み 1個120円
姫街道の1本西で、天竜浜名湖鉄道の線路脇、うなぎの清水家の向いです。リニューアルした広い店舗で駐車場は6台分。細江名物のみそ饅頭は人気が高く、1日3回の作りたてが購入できます。ところてんや直虎豆腐(お菓子です)、洋菓子もあります。

製造終了と復活最中

なんてこった!製造終了

全国の最中情報を探っていると廃業してしまった店の情報も出てきます。最中旅が休止中なので、特別企画として今や手に入れることができなくなった最中をいくつか紹介します。

・天文台もなか:山口県浅口市
国立天文台に因んだ最中でしたが10年前に閉店。2年前には京都大学の天文台もできたというのに・・・。復活希望。

・カニ最中:愛媛県鬼北町
地元の川に生息するカニに因んだ最中。いつの間にか閉店したようです。愛媛の最中旅で行く予定だったのに残念。

・ふじもなか:静岡県磐田市
熊野御前(ゆやごぜん)お手植えの長藤に因んだ最中。2年前に閉店。藤色の餡の最中でした。近くだったのに一度も食べたことなく、泣ける。

・蜆塚最中・静岡県浜松市
縄文時代後期の貝塚に因んだ最中。数年前に閉店したようです。遺跡と博物館には数回行ったことがあるのですが、竪穴式住居の形の最中について知った時には既に遅し。

復活を遂げた最中

2年前の4月だったでしょうか。静岡市の大井川上流の井川で売られている最中を買いに行こうとした時のことでした。念のために行く前に電話をしてみたところ、店のご主人が2か月ほど前に亡くなられ、廃業してしまったとのこと。井川メンパ(曲げた桧に漆を塗った弁当箱)の形をした最中は幻となってしまったのかと、がっくりと肩を落としたのでした。

ところが今年の4月下旬にこの最中が復活したとの情報が入ってきました。井川振興会の有志らがこの地元銘菓を復活させたのです。販売は5月1日から始まっていますが、当面は通信販売のみです。そのうち井川ビジターセンターなどでの販売を考えているそうです。この最中の名前は「メンパ最中てしゃまんく」。「てしゃまんく」については通常の最中旅のブログ記事にていずれ紹介します。