勾玉最中五季節の祈り:三重県伊勢市

伊勢神宮に演奏を奉納してきました

伊勢神宮内宮の参集殿は休憩所になっていて、その奥には様々な芸能集団が奉納を行う能舞台があります。天皇即位の祝賀で庖刀式が奉納されたのですが、これに奉納者の一人として参加してきました。

庖刀式とは手を触れずに魚を捌いて神前に捧げる儀式で、その伴奏を務めることになったのです。烏帽子と直垂の装束で庖丁刀と真魚箸で儀式を執り行う厳粛な雰囲気のなか、精神統一して演奏することができました。

勾玉最中ー五季節の祈り

さて、こちらは神宮での祭事に使われる五色絹から命名した最中で、五季節と書いて「ごしき」と読みます。翡翠色の皮種の伊勢茶餡はホワイトチョコレートの粒入りで、お茶の香りの後に洋風の甘味がやって来ます。他にも柚餡やメープル餡、季節限定の桜餡もあります。

年間祭事一五○○回

伊勢神宮については説明するまでもありませんが、内宮と呼ばれる皇大神宮には日本国民の総氏神である天照大神をお祀りしており、ご神体は三種の神器のひとつである八咫鏡です。外宮の豊受大神宮は衣食住と産業の神である豊受大御神をお祀りしています。国民の幸せを祈る祭りや神様に食事をお供えする祭りは神宮全体で年間1500回以上もあるそうです。

今回は奉納の準備から撤収までの5時間を参集殿で過ごしたので、内宮の参拝だけになってしまいました。次回は外宮やおはらい町もゆっくり見てみたいです。上の画像は五十鈴川で手を清めた際に撮りました。正宮は階段下からの撮影が許可されていますが、人が多かったのでやめておきました。神宮を出て市営駐車場横の赤福の店でぜんざいを食べ、帰路に就きました。

勾玉最中五季節の祈り

勢乃國屋 三重県伊勢市宇治今在家町117 0596-23-5555 無休 5個入り950円
宇治橋から徒歩1分の観光バス駐車場の隣です。看板商品の神代餅は粒餡のよもぎ餅。また、オーソドックスな小豆餡の勢乃國最中もあります。2階では松阪牛や伊勢うどんなどの食事もできます。

秋葉さん最中:静岡県浜松市

全国の秋葉神社の総本宮

行楽の秋。紅葉を見に行こうということで、秋葉神社に行って来ました。浜松市の中心部から直線距離で40kmほどの旧春野町で、赤石山脈の南端の秋葉山にある火防の神を祀る秋葉神社の総本宮です。地元では秋葉さんと呼ばれています。

船明ダムを過ぎて天竜川沿いに北上し、石灯篭が目印になっている橋を渡って参道に入ります。ここからは山道になっていて、観光バスとギリギリですれ違って上へ上へと曲がりくねった道を進み、大鳥居の前の広い駐車場に着きました。長い階段が山頂へと続いており、両脇には「やつで」のマークが付いた石灯篭が並んでいます。やつでは秋葉さん最中にもあしらわれています。

秋葉さん最中

天狗の羽団扇とも呼ばれるやつでの形に、縦に秋葉さん、横に遠州という文字が入っています。中は程よい甘さの小豆のつぶし餡です。包みは小倉と書かれたシールで止めてありますが、餡は小倉(≒つぶし餡)1種類です。

天狗と秋葉神社

さて、何故やつでが秋葉神社のマークになっているかというと、秋葉神社は明治になるまでは秋葉大権現という名称で秋葉山三尺坊という天狗が祀られていました。羽団扇で火を操る天狗が、イザナミとイザナギの御子である 火之火具土神(ほのかぐつちのかみ) にとって代わられたのですが、天狗の羽団扇の紋がそのまま残ったようです。春野町には大きな天狗の面や下駄のオブジェがあったりして、天狗は今でもこの地区のシンボルとなっています。

秋葉神社上社

山の上の神社は上社で、12月16日に行われる秋葉の火祭りという防火祭で三舞の神事の舞台となる神楽殿や立派な神門、金ぴかの鳥居があり、武田信玄を始め名立たる武将の刀が奉納されていたりするのですが、もうひとつ天竜川の支流の気田川沿いに秋葉神社下社があります。こちらは一般道からすぐに辿り着けますが、規模は小さく、杉林に囲まれた薄暗い社に明かりが灯っていました。

秋葉さん最中

月花園 静岡県浜松市天竜区春野町堀之内973-4 053-985-0014 1個110円
上社からは遠いですが、下社からは2kmほどです。素朴な感じの店で、郷土菓子の「青ねり」を主に販売しています。最中は置いていない時があるので、事前に電話予約をすると確実です。

天来最中・小琴最中:長野県佐久市

現代書道の父

比田井天来(ひだいてんらい)という人物を知っていますか?「書は芸術である」として新境地を切り拓いた、現代書道の父と呼ばれる書家です。佐久の最中を調べていて初めて知りました。下仁田からの帰りに佐久を通るので、行って来ました。

荒船風穴と神津牧場の後、コスモス街道を通って長野県の佐久市に出ました。佐久と言えば鯉ということで鯉最中があるのですが、この日は定休日だったのでまたの機会に。千曲川を渡ってそのままずっと西に10kmほど進み、佐久市に合併された元の望月町まで行きました。

天来最中・小琴最中

横が7.5cmと大振りの天来最中の皮種には別号の「畫沙(かくさ)」の落款、裏には天来と入っています。 妻の小琴(しょうきん)の名が併記された小さめの最中は、同じ落款に裏は小琴となっています。少し甘めのつぶし餡で、食べ応えがあります。包み紙の上の落款はこれも別号の比田井象之です。

記念館と自然公園

市役所の隣にある天来記念館は日本初の書道専門美術館だそうで、天来の作品や筆、落款などが展示されています。かな書道の最高指導者だった小琴や、門下生たちの作品も見ることができます。また生家の裏山には地元のNPO法人が整備した天来自然公園があり、天来と門下生の書の石碑が9基建っています。公園へ続く道には案内板があるのですが、その先は木々が覆いかぶさる細い道です。公園に入る小径の前に車が方向転換ができるスペースがあってほっとしました。

天来自然公園

書道家の聖地として毎年訪れる団体もあるようで、秋にはこの公園で天来祭りが催されます。望月町が佐久市と合併してから、天来の影が薄くなってしまったと嘆く人もいるそうで、なんとか盛り上げようとしているようです。また、望月地区には3千体もの石仏が町のあちこちにあり、石仏の里とも呼ばれています。

天来・小琴最中

喜月堂 長野県佐久市望月168 0267-53-2012 第1・第3日曜定休 1個180円/130円
天来記念館の近くの旧中山道沿いにあります。一般的な菓子も売っている庶民的な感じの店です。駐車場はないようなので、店の前に停めました。

荒船風穴最中:群馬県下仁田町

絹産業の世界遺産

今回の最中旅の第一目的である荒船風穴は、下仁田の中心街から車で35分の山の中にあります。土日は神津牧場側の駐車場から800mの山道をシャトルバスが出ていますが、平日なので反対側のルートを行きました。

車を停めて矢印に従って細い急坂を登ると料金所の小屋の前に出ました。入場料を払って記念の世界遺産カードを1枚選んだら、ガイドさんが小屋から出てきて案内してくれました。今は石垣の囲いが残るのみですが、冷たい風は出ていて、この日の下界は25度ほどの気温だったのですが、1号風穴の中は2 . 4度!そんな風穴を表現したという最中を来る途中の和菓子店で入手しました。

荒船風穴最中

蚕のまゆの形の最中にはシルクパウダー入りの小豆のこし餡が、石垣の形には風穴の冷気を表現したというハッカ油入りの白こし餡が入っています。皮種は薄く、餡は程よい甘さです。ハッカは効きすぎることなく、最中に清涼感を与えています。まゆ2個と石垣3個のセットで化粧箱に入っています。

絹の大衆化に貢献

荒船風穴は石垣の囲いの中に2階建ての小屋がありました。この中に蚕の卵を貯蔵して、時期をずらして風穴から出し孵化させます。1年に1サイクルだった養蚕が何度も行えるようになったのです。国内最大の規模で、42道府県と、さらに朝鮮半島との取引もあったとのこと。洞窟型の風穴と異なり、温度の違う3基の風穴で徐々に自然の状態に戻すことができます。風穴がある地域からの、リスク分散のための委託も多かったそうです。

荒船風穴

上の画像は見学用デッキから撮った風穴。デッキの隅に風穴が使われていた頃の写真があります。昔はこの風穴の脇の小道を何十頭もの馬が長野県の佐久から米を運んできたそうです。下の集落は賑わい、馬で荷物を届ける宅配便のような商いもあったとか。この日は観光客もまばらで、集落で飼われている甲斐犬の声が山々に木霊していました。

荒船風穴最中

古月堂 群馬県甘楽郡下仁田町本宿3760 0274-84-2417 火曜・第3水曜定休 2種5個入り700円
国道254号から県道43号に入る上州姫街道の宿場町だった所にあります。2017年の群馬土産3位に選ばれた「本宿どうなつ」の店で、254沿いに大きな看板が建っています。北関東自動車道の前橋南インター近くに支店があります。