万葉の峰:群馬県下仁田町

山々を眺め下仁田へ

富岡製糸場とともに世界遺産登録されている絹産業遺産群の荒船風穴を見に行って来ました。静岡県の清水から北上し、甲斐駒ケ岳や八ヶ岳を眺め、浅間山の手前から上信越自動車道へ。妙義山を北から周ってネギとコンニャクの町下仁田へ到着。

街中から再び山方面へ向かうのですが、その前に駅近くの和菓子店へ直行。店の前に着いたのですが、納品で留守にするとの張り紙が!なんてこったと思っていると、ちょうどそこに店の人が帰ってきました。通りがかったご婦人がよかったですねという風に微笑みかけてくれました。

万葉の峰

皮種は画像の荒船山の他に妙義山、神津牧場、黒滝山不動寺の全4種類があり、ランダムな2種類の組み合わせになっています。若葉色に色付けされた白こし餡に柚が練りこまれたさわやかな風味の最中です。

奇岩を仰ぐ

店を後にして、日本三大奇景のひとつである妙義山へ。下仁田町と富岡市、安中市にまたがる幾つかの山の総称で、ハイキングコースから縦走ルートまでとレベルに応じた登山が楽しめます。下仁田側からは県立森林公園さくらの里から岩山を目の前にすることができます。広い駐車場から絶景を眺めた後、荒船風穴へ向かったのですが、これについては次回紹介します。

妙義山

荒船風穴を出て、日本で最初の洋風牧場である神津牧場へ。牧場産のハンバーガーとソフトクリームを食べて、チーズやバター飴などを購入し、店員さんに荒船山がよく見える場所を教わりました。荒船山は船の形をしたテーブルマウンテンのような艫(とも)岩が特徴的。最中の絵とは反対側からの眺めです。最中の絵の最後のひとつ黒瀧山不動寺は、今回は訪れませんでしたが、下仁田町の南隣の南牧村にあります。

万葉の峰

総本家紙屋 群馬県甘楽郡下仁田町下仁田361 0274-82-3228 木曜定休 1個108円
下仁田駅から徒歩で2分ほど。紙問屋だった頃の屋号をそのまま使っているそうです。下仁田ネギの饅頭や洋菓子も作っていて、桑の葉と練乳を使った焼き菓子の「荒船Who-K2」もあります。

きんめ鯛もなか:静岡県下田市

キンメダイ日本一

黒船来航に平井平次郎翁と、歴史に因んだ最中を紹介しましたが、下田最中旅の最後は、現在、日本一の水揚げ量を誇るキンメダイです。

鯛という名がついていますが、水深200から800メートルに住む深海魚で、大きな金色の目は深海で光を集めるために進化したようです。1年中おいしいキンメですが、一番脂が乗る冬が旬です。下田の観光ガイドによると、品質の統一や輸送手段の確保に努めた下田が日本一の漁獲量を誇るようになったということです。

きんめ鯛もなか

キンメダイの形をした最中は2種類あります。こがし種が粒餡で、桜色がこし餡です。両方とも刻んだ栗が入っていて、程よい甘さの小豆とちょうどいいバランスです。パッケージにはイラストと赤白金のキンメカラーが散りばめられています。

下田湾を一望

キンメダイの船は朝7時半ころ港に帰ってくるそうですが、もう昼近くだったので、伊豆急下田駅近くから出ているロープウェイで寝姿山へ向かいました。夏休み期間中とはいえ平日なのにロープウェイは乗客でいっぱいです。山頂の展望台から下田湾を見下ろすと、湾の中央には犬走島、手前が毘沙小島で、遊覧船サスケハナが停泊しているのも見えます。この日は薄曇りでちょっと残念。

下田湾

左の須崎半島側にはハリスの小径という石畳の遊歩道が海岸沿いに続いており、そこからの夕陽に染まる下田湾が美しいと評判です。1泊すればこの夕陽を見て、朝は魚市場も見学できますね。市内には1年中キンメ料理を提供する店が何軒もあります。また、旬は冬ですが6月の下田キンメ祭りの頃も脂が乗っているそうです。伊豆急を利用するなら、行きは黒船電車で帰りはキンメ電車なんてのもいいですね。

きんめ鯛もなか

平井製菓 静岡県下田市2丁目11-7 0558-22-1345 火曜定休 1個180円+税
下田文庫と同じ店です。きんめ鯛もなかは下田の東急ストアでも販売していました。道の駅などでも取り扱っているかもしれません。

下田文庫:静岡県下田市

歩く図書館―平井平次郎

下田市について下調べをしていた際に見つけた最中の名前が「下田文庫」でした。平井平次郎なる人物の別名とわかったのですが、さて、何者なのでしょう。

広報しもだ2009年6月号によると、天保時代の町の書記だった人で、20年近くかけて下田の行事や式典の作法、祭りや寺社の縁起由来、訴訟の記録、幕府の触書などの公の記録から、火事、殺人、心中といった市井の事件までを「下田年中行事」として全87巻に書き上げました。そんな平井翁はいわゆる歩く図書館のような博学な人だったことから下田文庫と呼ばれていたということです。

下田文庫

手文庫を思わせる形の薄めの最中には程よい甘さの小豆餡が入って素朴な感じです。包み紙はなまこ壁の土蔵が描かれた渋いデザインです。文字に興味を引かれ尋ねてみると、書家の故船津環洋の手によるものとのこと。船津先生のお連れ合いと店の創業者がいとこ同士だった縁で書いてもらったそうです。

安政の大津波

ペリーが再来航し下田条約を結んだ1854年の11月、安政の大津波が下田を襲いました。失われた命は500人とも600人とも言われています。この時、87巻の下田年中行事は役人が抱えて山へ運び、難を逃れました。明治以降は町長室の専用本箱に厳重に保管されているそうです。今では1冊にまとめられたものが長倉書店より出版されています。

下田のなまこ壁

こちらは包み紙にも描かれているなまこ壁です。ペリーロードの旧澤村邸で、無料の休憩所になっています。さて、平井平次郎の記念碑が下田八幡神社にあるというので訪ねてみました。本殿脇の木が生い茂った場所にひっそりと石碑が建っています。随分昔に建てられたらしく、かろうじて平井と読める程度。手前にもう一つ石碑があって説明が刻まれていますが、こちらも文字が薄れてしまっていました。

下田文庫

平井製菓 静岡県下田市2丁目11-7 0558-22-1345 火曜定休 1個130円+税
本店は大通りから入った場所にありますが、マイマイ通りの中島橋近くに支店があります。両方とも駐車場はないようなので、本店の前の道に停めました。ハリスさんの牛乳あんパンで有名な店で、他にも和風ロールや季節のあんパンもあります。

黒船来航最中:静岡県下田市

サスケハナに乗ってペリーはやって来た

8月下旬に伊豆半島の下田市に行って来ました。謎解きをしながら静岡県内を巡るという某自動車メーカーの夏休み企画があり、参加した知人に便乗してのドライブ旅です。海水浴客で賑わう海岸通りを過ぎて、下田の市街地に向かいました。

下田港には 遊覧船「黒船サスケハナ」が 停泊していて、伊豆急下田駅前の広場にはこれまたサスケハナの大きな模型が鎮座しています。謎解き企画で吉田松陰が隠れ住んでいた家などを回った後、ロープウェイで寝姿山に登り、黒船見張所跡から下田湾を一望。 次に、古民家や蔵が並ぶ川沿いのペリーロードを散策しました。そんなペリー&黒船推しの下田にはもちろんこんな最中が。

黒船来航最中

かわいい黒船ですが、3本マストと煙突、外輪を端的に表した形です。程よい甘さの粒餡で、刻んだ栗が主張しすぎず味に深みを与えています。後ろの黒い最中KUROMONAは炭入りの皮種に別包装の餡を自分ではさむタイプで、栗は入っていません。

開国の舞台となった下田市

ペリーは最初4隻で浦賀にやって来ましたが、2度目は9隻で来航。日米和親条約締結後に下田に寄港し、その細則を定めた下田条約に調印しました。下田に米国総領事館が置かれ、ハリスが初代総領事になったのでした。黒い船体が蒸気を噴き上げ大きな車輪が水しぶきを上げる蒸気外輪フリゲート「サスケハナ」号は、帆船時代の当時としては最大級の戦艦でした。

黒船サスケハナ

さて、下田港周辺は様々な幕末の逸話の舞台となりました。密航しようとした吉田松陰、脱藩を許された坂本龍馬、ハリスのお妾と勘違いされ迫害された唐人お吉など、記念館や開国の舞台となった寺などを巡ることができます。また6月には開国記念碑がある下田公園であじさい祭りが開催され、多くの観光客で賑わいます。電車を利用するなら伊豆急行の黒船電車が運行しているので、要チェックです。

黒船来航最中

ロロ黒船 静岡県下田市二丁目2-37 0558-22-5609 無休 1個170円
店名のとおり黒船とペリーをテーマにした和菓子がたくさんあって、お土産を買うのに迷います。大きくはないですが素敵な店舗で、季節毎にかわいい上生菓子も発売しています。龍馬像とお吉記念館がある宝福寺の近くで、駐車場あります。

子もちたこ最中:兵庫県明石市

明石焼・玉子焼・卵焼き?

平磯灯標を見た後、明石海峡大橋を臨むコーヒーショップで昼食をとってから、次の目的地へ向かいました。神戸の隣の明石市です。明石のお土産で明石焼をもらうことがありますが、地元では玉子焼と言うそうです。タコが入っていないのは卵焼き。さらに明石焼という陶磁器もあるのです。ややこし。

明石海峡では2000年も前からタコ漁が行われていたそうで、明石ダコと呼ばれるこの付近のマダコは、豊富なえさと強い潮流で育つので味がよく、漁獲量も日本一です。タコ焼きや明石焼が有名になるにつれ、明石ダコの名も知られるようになっていったそうです。

子もちたこ最中

タコの形をしたこの最中は子もちたこ最中。中に求肥が入っており、子持ちと小餅をかけてあるのでしょうか。程よい甘さの粒餡、白餡、抹茶餡があり、求肥とのバランスもちょうどいいです。

子午線と明石城

明石市ではまず、日本の標準時を決める東経135度の子午線上にある、明石市立天文科学館を訪ねました。時と天体に関する展示を見学してから、展望室からの眺めを楽しみ、科学館裏手の子午線標識へ。通称トンボの標柱。子午線の標識は他にもいくつかあるのですが、古いものは位置が少しずれているとか。そしてトンボの標柱の隣には蛸壺塚があります。タコと蛸壺の供養の為に建てられたそうです。「蛸壺やはかなき夢を夏の月」松尾芭蕉の句が刻まれています。科学館ごしに明石海峡大橋が見えました。

蛸壺塚

さて次に訪れたのは「天守閣はない。ロマンはある。」でお馴染み(?)の明石城です。正直言って期待していなかったのですが、圧巻の石垣と美しい2基の現存櫓が!しかも姫路城より広いとか。今年が築城400周年という明石城は、今はきれいに整備された公園になっていて、市民の憩いの場として賑わっていました。「天守閣は・・・」を含め6種類ののぼり旗が面白いですよ。

子もちたこ最中

明植堂 兵庫県明石市桜町14-21 078-912-3600 不定休 1個160円
明石駅の南口から徒歩3分ほど。タコの他にも鯛やあなごなど明石の海産物をテーマにした和菓子がいろいろあります。2階は喫茶室になっています。明石駅のピオレ明石にも出店しています。