たこつぼもなか:愛知県南知多町

日間賀島のたこ漁

河和港を後にして、そのまま知多半島の東海岸を南下し、南知多町にやって来ました。西海岸には海水浴場が、東海岸と半島先端には漁港がいくつかあり、沖の日間賀島ではたこ漁が特に盛んです。海の幸が豊富で朝市で賑わう漁港もありますが、まずは最中の店がある大井漁港に立ち寄りました。

たこ漁で使われるたこつぼを模った最中です。皮種の半分ずつに、それぞれ小豆餡と抹茶餡を詰めて合わせた珍しいタイプで、あっさりした甘さの餡がたっぷり入っています。包み紙には蛸がくねるようなひらがなの商品名の横に愛知県知事賞受賞と記されています。

弘法大師が尾張に上陸

大井の聖崎は814年に弘法大師空海が初めて尾張に上陸した地とのことで、昭和59年に海の中に出た岩の上に上陸大師像が建立されました。公園や遊歩道が整備されていて、訪れた時は河津桜が満開でした。北側の駐車場から海沿いの遊歩道に出て大師像を眺めました。遊歩道からは海の中へ階段が続いており、干潮時には歩いて大師像まで行けるそうですが、ちょうど満潮で残念。年配のご夫婦が像に向かって手を合わせていました。

聖崎を出て、その南側の高級リゾートアパートメント群をちょいと見物し、朝市が人気の師崎漁港を過ぎ、知多半島南端の羽豆岬(はずみさき:大人数のアイドルグループの歌になっているそうです)から海岸を離れ、南知多道路へと戻りました。今回は日間賀島には行きませんでしたが、1時間に2便ほどフェリーが出ており、かっぱ最中の河和や渥美半島の伊良湖とも連絡しています。たこの他フグ料理や潮干狩り、イルカとのふれあいなども楽しめるようです。

たこつぼもなか

たこつぼもなか本舗末廣軒 愛知県知多郡南知多町大字大井字真向2-1 0569-63-0319 火曜定休 1個150円
大井漁港前の信号から1本入った「つるや」の隣。大きな立て看板と、最中の餡と同じ小豆色と抹茶色の暖簾がかかっています。たこ漁については詳しくないと言いながら、女将さんもご主人も丁寧に対応してくれました。店の前に駐車場あります。

かっぱ最中:愛知県美浜町

村人を助けたかっぱの家族

知多半島の観光シーズンは夏なんでしょうが、夏は最中旅に向いていないので、花粉の最盛期がやって来る前に行って来ました。まずはかっぱ伝説が残る美浜町です。その伝説とは・・・

昔々、美浜町の河和(こうわ)にかっぱの家族が住んでいました。太郎とゆり子の夫婦と娘の花ちゃん、弟の和ちゃんです。ある時日照りが続いて村人は困り果てていました。見かねたかっぱの家族は密かに雨ごいを始め、やっとのことで雨が降りました。ところが村人たちが喜んだ矢先、子供が増水した川に落ちて流されてしまったのです。弟かっぱの和ちゃんが気付きその子を助けましたが、今度は和ちゃんが海へと流されて帰ってくることはありませんでした。

かっぱ最中

花ちゃん?お母さん?の姿のかっぱ最中。立体的なので小振りな割には餡が入っている感じです。つぶし気味の程よい甘さの餡と皮種のバランスがいい最中です。河和港近くの本店には見本しかなかったので支店で購入しました。本店にいたおばあちゃんが「おいしくてよく売れるんで、あがってみてください。」と言っていました。おばあちゃん、たくさん買いましたよ!

愛される河和のかっぱ

河和港の高速船乗り場前にはかっぱ家族の銅像があります。河和海水浴場などにもコンクリート製のかっぱの像があるのですが、古びてしまってちょっと恐ろしい姿になってきています。見かねた地元出身の方が私財を投入して河和港に銅像を作ったのだそうで、かっぱ伝説を紹介する立派な石碑も立っています。

この伝説には続きがあります。花ちゃんは鯛を抱えていますが、実はこの鯛は竜宮城の使いで、海に流された和ちゃんは竜宮城で保護されていると伝えに来たというのです。隣の武豊町には浦島太郎伝説があり、それとからめてハッピーエンディングを付け加えたようです。さらに花ちゃんにお婿さんを迎え、子供が生まれたという設定で銅像も増えました。

かっぱ最中

片弥菓子舗西谷店 愛知県知多郡美浜町河和西谷82-1  0569-82-1974  金曜定休 1個100円
町のおまんじゅうやさんといった雰囲気の本店は製造が主なので、西谷支店で購入するのがいいかと思います。河和駅から800mほどの厚生病院の前で、店の前に駐車スペースあります。

太郎最中:静岡県磐田市

霊犬の怪物退治

鎌倉時代のことです。遠州見付の村には8月に白羽の矢が立った家の娘を人身御供として神に差し出すという習わしがありました。不審に思った旅の僧が確かめに行くと、それは神ではなく怪物で、信州の悉平太郎(しっぺいたろう)を恐れていることがわかりました。信州を探し回った僧が見つけたのは、駒ケ根の光前寺に住む山犬の子でした。悉平太郎を借りて見付に戻り、娘の代わりに白木の箱に潜ませて、首尾よく怪物を倒したのでした。

磐田市と駒ケ根市は友好都市になっていますが、見付を救った霊犬の伝説を知る人は、年々少なくなってきていました。磐田市のゆるキャラが悉平太郎をモチーフにした「しっぺい」に決まってからは、この伝説もまた広く知られるようになりました。そんななか2年前の戌年に発売されたのが、太郎最中です。

太郎最中

三角耳が凛々しい犬の形の最中で、程よい甘さの粒餡と北海道産の白小豆餡があります。粒餡2個と白小豆1個の3個セットのパックには悉平太郎像の写真が載った帯が掛かっています。なぜ悉平太郎最中にしなかったのかと店の人に尋ねたところ、独自の型を使っていないので悉平と付けるのを遠慮したとのことでした。気にしなくていいのではないかと思いますが・・・。

犬も参拝OK! 見付天神

伝説の舞台となったのが、 矢奈比賣神社(やなひめじんじゃ) で、菅原道真を合祀しているため、見付の天神様と呼ばれています。二の鳥居の脇に悉平太郎の銅像があり、犬を連れて入ることができる数少ない神社のひとつです。神社の裏のつつじ公園には霊犬神社という別社もあります。つつじの頃に行ったら最中データ一覧のページに写真を追加することとしましょう。

見付天神の悉平太郎像

駒ケ根市では同じ犬が早太郎または疾風太郎と呼ばれています。駒ケ根にも早太郎最中があるので、そのうち紹介します。また、 宮城県や滋賀県にも似た話があって、字は違ってもしっぺいたろうだそうです。さて、怪物を倒した悉平太郎のその後ですが ①相打ちだった ②駒ケ根に帰る途中で力尽きた ③光前寺に戻り、和尚の顔を見て一声吠えて息絶えた ④光前寺で幸せに暮らした と諸説あります。個人的には ③ ですが、どれがいいですか?

太郎最中

井口製菓 静岡県磐田市見付2663 0538-32-3951 水曜定休 1個170円  3個セット500円
見付宿の中程にあって、見付天神の裸祭りに出される粟餅を作っています。国分寺最中で紹介した店で(2018年9月)、しっぺいグッズも販売中。

勾玉最中五季節の祈り:三重県伊勢市

伊勢神宮に演奏を奉納してきました

伊勢神宮内宮の参集殿は休憩所になっていて、その奥には様々な芸能集団が奉納を行う能舞台があります。天皇即位の祝賀で庖刀式が奉納されたのですが、これに奉納者の一人として参加してきました。

庖刀式とは手を触れずに魚を捌いて神前に捧げる儀式で、その伴奏を務めることになったのです。烏帽子と直垂の装束で庖丁刀と真魚箸で儀式を執り行う厳粛な雰囲気のなか、精神統一して演奏することができました。

勾玉最中ー五季節の祈り

さて、こちらは神宮での祭事に使われる五色絹から命名した最中で、五季節と書いて「ごしき」と読みます。翡翠色の皮種の伊勢茶餡はホワイトチョコレートの粒入りで、お茶の香りの後に洋風の甘味がやって来ます。他にも柚餡やメープル餡、季節限定の桜餡もあります。

年間祭事一五○○回

伊勢神宮については説明するまでもありませんが、内宮と呼ばれる皇大神宮には日本国民の総氏神である天照大神をお祀りしており、ご神体は三種の神器のひとつである八咫鏡です。外宮の豊受大神宮は衣食住と産業の神である豊受大御神をお祀りしています。国民の幸せを祈る祭りや神様に食事をお供えする祭りは神宮全体で年間1500回以上もあるそうです。

今回は奉納の準備から撤収までの5時間を参集殿で過ごしたので、内宮の参拝だけになってしまいました。次回は外宮やおはらい町もゆっくり見てみたいです。上の画像は五十鈴川で手を清めた際に撮りました。正宮は階段下からの撮影が許可されていますが、人が多かったのでやめておきました。神宮を出て市営駐車場横の赤福の店でぜんざいを食べ、帰路に就きました。

勾玉最中五季節の祈り

勢乃國屋 三重県伊勢市宇治今在家町117 0596-23-5555 無休 5個入り950円
宇治橋から徒歩1分の観光バス駐車場の隣です。看板商品の神代餅は粒餡のよもぎ餅。また、オーソドックスな小豆餡の勢乃國最中もあります。2階では松阪牛や伊勢うどんなどの食事もできます。