出世城もなか:静岡県浜松市

浜松城で天下取りの足固め

浜松城は小さな城で、今ではコンクリート製の天守と2014年に復元された天守門があるのみですが、江戸時代の大名には大人気の城でした。なぜなら浜松城は出世城だったからなのです。

徳川家康が元あった曳馬城を名を改めて浜松城とし、城下町なども作られて発展しました。その後、松江城を築城した堀尾吉晴が在城し、石垣などを大改修。多くの松平家や水野忠邦などが城主を歴任し、浜松城は出世城と呼ばれました。そして2015年の家康没後400年を記念してリニューアルされたのが、この出世城もなかです。

出世城もなか

浜松の物造り技術を生かし、3Dモデリングで天守を高精度に再現した最中種です。程よい甘さの小豆餡は種とのバランスもちょうどいいです。個装は緑と紅色がありますが、中身は同じです。

現在も発掘続行中

城跡は浜松市役所の裏手にあって、公園として整備されています。広い無料駐車場がある公園側から入って、模擬天守を目指し天守門の外まで来たら、なにやら争うような声が聞こえてきました。よっばらいが騒いでいるのかな、大丈夫か?と思いながら門をくぐると、天守前の小さな広場で武将隊のような数人が芝居をしていました。ゆるキャラの家康くんがいることもあるそうですが、小さな城にはもっと落ち着いたきめ細かいおもてなしがいいかも。

浜松城

上の写真は2018年の6月中旬に撮ったものです。 同年10月に家康の関東移封後に作られたとされる櫓の基礎を発見したとの発表があり、今も調査が続けられています。豊臣が徳川をけん制するために堀尾氏が浜松城を強固にしたという具体的な様子がわかってきましたが、江戸時代の絵図には天守も櫓も描かれていないそうです。ちなみに家康は最初は隣の磐田市に築城しようとしていたのですが、信長が許さなかったそうで、磐田市には城山という地名のみが残っています。

出世城もなか

ふる里総本家 佐鳴台本店 静岡県浜松市中区佐鳴台6丁目6-6  053-448-9121  1個194円
店舗は市内に6店あります。浜松城の近くにはありませんが、浜松駅でも販売しています。お手盛りタイプもありますので別の機会に紹介します。

龍潭寺もなか:静岡県浜松市

井伊家の菩提寺

2017年のNHK大河ドラマ「おんな城主直虎」に登場し、広く知られるようになりましたが、その前から小堀遠州の庭園で有名で、観光バスがやって来るような寺でした。随分昔に行ったことがあったのですが、大河が終わって落ち着いたであろうと、昨年の5月に再び行ってきました。

入口近くの駐車場は満車で、係の人が別の駐車場を案内しています。緑濃い境内では井伊家御霊屋や歴代住職の位牌を祀る開山堂、仁王門や本堂修復記念の鬼瓦などを見ることができます。本堂と庭園は拝観料が必要ですが、一般の墓所の奥にある井伊家の墓所は無料です。見学後は駐車場にある売店へ。

龍潭寺もなか

大河ドラマに合わせて作られた最中は小豆餡と黄金餡の2種類です。皮種には井伊家旗印の井桁紋が。赤備えの鎧兜のパッケージの黄金餡は、粒がほぼ残る白餡に柚ペーストを混ぜたもので、小豆餡とともにとても甘いです。

井伊家発祥は井戸端から

龍潭寺南側の田んぼの中に瓦屋根の門と白壁に囲まれた井戸が祀られていますが、この井戸端に捨てられていた子が長じて井伊家の初代当主となったそうです。井戸のある場所はかつては神社の境内だったのですが、明治の神仏分離令で神社は北西の天白磐座(てんぱくいわくら)遺跡の前に移転しました。その渭伊神社の 10月の例大祭には井伊家の弓や矢筒などの実物を使って祭祀が行われるとのことです。

龍潭寺

上の写真は龍潭寺の本堂で、屋根の上には井桁のマークがあり、また前庭の白砂は浜名湖の形になっています。行基が開創した臨済宗の寺で、本堂には左甚五郎作の龍や恙なしの彫刻、鴬張りの廊下などを見ることができます。徳川将軍家の茶道指南役、小堀遠州の庭園は本堂の裏にあります。

龍潭寺もなか

龍潭寺売店 浜松市北区引佐町井伊谷1989  053-542-1293 営業日・時間は龍潭寺( 053-542-0480 )と同じ
お菓子司あおい 静岡県浜松市東区有玉北町1594 053-435-3365 1個200円

店蔵、鐘つき最中:埼玉県川越市

小江戸川越の蔵造りの町

去年の夏の盛りに川越市に行ったことがありました。その時はリュックサックを背に歩き回ったので、食べ物は煎餅くらいしか買って帰ることができませんでした。今回は冬でしかも車移動だったので、さいたま市に行ったついでに川越まで最中を買いに行ってきました。

夏でも冬でも川越蔵造りの町並みは観光客でいっぱいです。すれ違う人々からは中国語や韓国語が聞こえ、ヒジャブを着けた中東の女性もいます。なかには和服を着てそぞろ歩く日本人のグループも。何かの店にずらりと並んだ行列を横目に、一番街に面した店と時の鐘のすぐ横の店の2軒に向かいました。

店の外観がパッケージに描かれたくらづくり最中は店蔵の形で、粒はつぶし気味の硬めの餡です。時の鐘が描かれた鐘つき最中は甘めの餡で、両方ともしっかりした厚めの皮種です。

大火の経験を活かした街づくり

川越は商人の町として発展していましたが、明治26年(1893年)に大火事に見舞われました。全財産を失った商人もいたそうですが、その時焼失を免れたのは蔵でした。火事に強い町を造ろうということで、皆で助け合って蔵造りの町としての再建に取り組みました。伝統的な造りにレンガや大谷石を組み込み、黒漆喰で仕上げた店蔵は、川越独特の景観を作り出すこととなったのです。

蔵造りの町並み

時の鐘も大火の後に再建したもので、9時から18時の3時間毎にゴ~ンという鐘の音を聞くことができます。川越には店蔵が建ち並ぶ一番街や時の鐘の他に、駄菓子店が並ぶ横丁もあります。また、川越氷川神社や喜多院、川越城本丸御殿などの他、大正時代の洋館などもあり見所満載です。季節のイベントも充実しているようで、観光客が多いのもうなずけます。

くらづくり最中 店蔵

くらづくり本舗(一番街店) 埼玉県川越市幸町2-16 049-225-5252 無休 1個110円
川越市内だけでも支店が15店舗あり、福の字が付いた福蔵という最中のほうが有名なようです。スイートポテトやパイなどさつま芋の和洋菓子もいろいろあります。

鐘つき最中

福呂屋 埼玉県川越市幸町15-1 049-222-1103 月曜定休 1個150円
時の鐘のすぐ隣。2階は和風カフェになっていてかき氷やあんみつなどが食べられます。1階の和菓子店にはさつま芋のきんつばやパウンドケーキもあります。

盆栽最中:埼玉県さいたま市

旧大宮市の盆栽村

大宮の鉄道博物館へ行く知人のグループに便乗してさいたま市へ行って来ました。鉄道博物館の前で二手に分かれ、我々は盆栽村へ。住宅街の中に盆栽店が点在している地区なので、休憩所として利用できる盆栽四季の家に駐車して付近を散策しました。

12月の初めだったので街路は紅葉で彩られていました。風情ある盆栽店の門をくぐると、大小様々な盆栽が並んでいます。盆栽教室の日だったらしく幾人かが店の奥へと入って行きます。最近は若い人にも人気があるそうで、通信教育もやっているとか。そんな盆栽村の名物最中がこちら。

盆栽最中

松の盆栽の皮種に入った餡は粒が残り気味で甘さ控えめ。写真の焦がし種の他に、白い種の抹茶餡、ピンクの種の白餡もありました。やっぱり香ばしい焦がし種がおいしいですね。

盆栽業者が集団移住

関東大震災をきっかけに東京小石川の盆栽業者が移住したのが始まりだそうで、盆栽村組合が作られ、盆栽村に住むためのルールが制定されました。
1 盆栽を10鉢以上もっていること
2 門戸を開放し、誰でも見られるようにすること
3 家は二階屋ではなく平屋にすること
4 家の囲いは生垣にすること
今は盆栽店が5店ほどになってしまい、普通の住宅街になっています。

盆栽美術館

盆栽村の近くには大宮盆栽美術館があり、樹齢何百年なんていう立派な盆栽を見ることができます。館内は撮影禁止ですが、一部の展示とロビーは撮影可能。上の写真はロビーに飾られていた季節の盆栽、椿です。ショップでは青龍と銘が付いた五葉松の盆栽が描かれた手拭いを購入しました。

盆栽最中

大成屋 埼玉県さいたま市北区東大成町2-260 048-663-2692 木曜定休 1個140円
盆栽村に一番近い店です。信号近くなので車の出入りがちょっと難儀。盆栽最中は大宮の和菓子店数店で作っていて、それぞれの店の餡を入れて販売しています。 デパートに入っている店や日曜定休の店もあるので都合に合わせてどうぞ。

米とぎ最中:静岡県磐田市

八王子神社の米とぎ祭り

以前、磐田市の特産品販売所で米とぎ最中を見つけて買ったことがありました。米粒でも入っているのかと思ったのですが特にそんなこともなく、変わった名前の最中の由来は謎でした。後になってそれが合併前の福田町(ふくでちょう)で行われる米とぎ祭りに因んでいるとわかったので、見に行って来ました。

下帯ひとつの裸の男たちが今之浦川で米をとぐ神事です。 天秤棒に釜を下げ「よいしょ、よいしょ」の掛け声でやってきた男衆は、八王子神社脇の堤防から小舟に乗り込みます。流されそうになる舟をなんとか操って、見物人に見えるよう米をとぎ終えました。その後男衆は神社に参拝し、米をふかすために公民館へ移動したので、見物を終了して和菓子店へ。

米とぎ最中

丸い皮種には稲穂の焼き印が押してあります。 程よい甘さの餡は手亡豆の白餡で、種の形に凹凸がないせいかたっぷり入っている感じがします。店では福田の名産品のしらすが入ったクッキーも販売していました。

何故あの川で米をとぐ?

今之浦川を知っている人は誰もがそう思うでしょう。元禄時代に流行った疫病を祓うためで、川で洗ってふかした米を八王子神社に奉納したのが始まりだそうです。当初は奉納した後の米飯を参加者で食べ、氏子の家にも配っていたとか。さすがに今やったら逆に病気になりそうなので、食べてはいないと思いますが、どうしているのか聞いてくればよかった‥‥ 。

米とぎ祭り

神職の方は女性です。舟に乗った人たちの他にも、同じ格好をしてお神酒を担いできた人達が堤防で見守っていました。子どもたちも参加しています。なんとこの祭り、地域外の人も希望すれば参加できるそうです。1月の第2日曜日という寒さの厳しい時期ですが、今年は遠州のからっ風も止んでいて季節外れの穏やかな日和でした。

米とぎ最中

福田入河屋 静岡県磐田市福田中島137-1 0538-58-0865 木曜・第3水曜定休 1個140円
八王子神社から500メートルほど。最寄りの磐田駅から4キロ以上ありますので車でどうぞ。店の前に6台くらい停められます。