安珍清姫の道成寺
(紀勢本線ひとり旅 その2)
田辺市から各駅停車で北に戻り、道成寺で下車しました。ここまでずっと無人駅が続いて運賃はバスのように料金箱に入れる仕組みです。さて、駅から少し歩くとすぐに道成寺の参道です。階段を上り山門をくぐると安珍清姫の伝説の舞台、道成寺です。普段入れない本堂の無料公開中でしたが、残念ながら午後3時の終了時間にわずかに間に合いませんでした。
蛇と化した清姫の怒りの炎で安珍が隠れた釣鐘が焼かれた後、430年後に寄進された二代目の釣鐘は秀吉に持ち去られ、今は鐘楼跡のみが残っています。参拝客は皆帰った後で、静かな境内を一周して寺を後にしました。ところで道成寺は日高川町にあり、参道の土産物店では釣鐘まんじゅうが売られていますが、最中は隣の御坊市にありました。
名勝の文字が浮かぶ釣鐘は平たい形で、程よい甘さの粒餡と厚めの求肥が入っています。包みの清姫らしき女性の横には淡いオレンジ色で道成寺銘菓と書かれ、足元には桔梗や萩が描かれています。
清姫を祀る蛇塚
道成寺から西へ少し歩くと御坊市に入りますが、そこに清姫を祀る塚があります。安珍を焼き殺したあと川に身を投げた清姫を引き上げ、葬って塚を立てたそうで、「じゃづか」と読むそうです。ところで清姫の出身地では、広く知られたものとは一部異なる話が伝わっています。それによると清姫は安珍を追う途中で蛇と化したのではなく、元々蛇身であったのを安珍が見てしまい、驚いて逃げた安珍を追いかけたそうです。
この後隣のJR御坊駅まで歩き、独立線路としては日本最短の私鉄紀州鉄道に乗り、御坊市の中心街へ。最中を買った後、御坊市の由来となった日高別院(日高御坊)に行こうかと思ったのですが、だいぶ歩いて疲れたので、辺りをのんびり散策して再び紀州鉄道に乗車。他に乗客がいないまま3駅を進みましたが、4駅目で学生たちが乗り込んできてなんだかほっとしました。5駅目が終点となる2.7kmの鉄道でした。この日は御坊市に宿泊しました。
名勝つりがねもなか
郷土銘菓処 ふく田 和歌山県御坊市薗422 0738-22-2937 火曜定休(不定休) 1個160円
紀州鉄道終点の西御坊駅から150mほど。梅や釣鐘、紀州鉄道など名産品や名物テーマの和菓子の他、バームクーヘンやカステラなどもあります。大正3年に手焼きせんべいの店として創業したそうです。駐車場は裏手にあります。